子供が産まれて12年経ったら、立派な小学校6年生。06Sは先日12年を迎えた訳だけど、もしも 06Sが本当に俺の子供だったら、もうすぐ中学生って事だよね。そう考えると10年一昔っていうけど、それよりも2年長い12年って子供が大人になっていく一歩手前まで成長している訳で、親としての責任と自覚をしっかり持たないと、下手したらその子供がぐれ始めちゃってもおかしく無いよね。これからもしっかりと育て上げて聡明な子にしないとねw
自分はひたすらに DJ 稼業を歩んで来て、そもそも基本的に自己主義でわがままな一人っ子な性分もあって、家族や子供を持たず43年も生きて来ちゃったけど、06S はみんなで大切に育てて来た自分達の子供であり、その子供を支えている人達は自分にとって掛け替えの無い家族だと思えるから、結局ここまでやれてこれたんだと思うんだ。正にファミリーが居てくれたから、少しずつ積み上げて継続して来た何モノにも代え難い12年。
今回のアニバーサリーでみんなに12年間も同じ事を続ける事は大変だよって言われて、改めて本当にそうだなって思った。もう継続出来ないかもと思う局面も山ほどあったし、自分自身のDJプレイが伸び悩んでいた時期もあるし。辛く悲しい時間ももちろんあったよ。このまま 06S はどうなってしまうんだろうって自分でも分からなくなる事も度々あったしね。でも、この長そうに感じる12年も自分自身はあっという間に感じている部分があるのも確かで、始めた頃の事も案外鮮明に覚えてて、冷静に考えると自分の音楽に対する愛と、パーティーに対する想いや、DJに対する姿勢は、全然開始当初と変わってないなって思う。でも12年の経験で成長させてもらった分、色んな側面で以前よりももっと深く物事を考えられるようになった。
自分は今、DJとしてアーティストとして生きているけど、普段の自分の生活で揺れ動く感情や、考えをそのまま自分の表現に変えて行くのが凄く大事で、それがアーティストなんだと最近は特に思う様になった。今回の12周年記念パーティーで掲げた"MY GROOVE IS YOURS"というメッセージがみんなに届いて、フロアーで俺のグルーブを体感して、一体感が産まれていたフロアーは壮観だった。正に DJという職業を選んで良かったなと思えるし、12年間あのブースに立ち続けさせてくれた事はとても光栄だ。これからも必ず継続し歴史を刻んで行くし、より熱い情熱と信念を貫きたいと、みんなが思わせてくれてる事が何よりも幸せです。
今回のアニバーサリーに出演してくれたドラムンベース界のキングANDY Cも、プレイスタイルや、DJに対する考え方が大きく変革していた。何十回も世界中で彼のプレイを見てきたけど、先週土曜日のWOMBはベストプレイだったと言っても過言じゃない。まず大きな違いはダブプレートを3台のターンテーブルでプレイするスタイルからTRAKTORに移行していた事は大きかった。でも、MACには2時間セットで1度も触らず、自分でプログラミングした3台のタンテ用のMIDIコンでターンテーブルに、次から次へと楽曲を放り込む。そして、2枚のMIXが終わる瞬間に3枚目を怒濤の勢いで差し込んだり、ダビーな楽曲の上に、フレーズのある楽曲を差し込み、戻す瞬間にまた3台目のターンテーブルから3曲目が繰り出される正に連続技。レコードを使っていた時よりも、レコードを差し替える時間が無くなったからパフォーマンスする時間が増えたよと本人も言ってたしね。実際数ヶ月は、どのMIDIコンが良いか色々と試したようだし、数ヶ月やり込んで今のセットアップに決めたと。王者ANDY Cも練習したり自分の新しいスタイルを模索してるんだよ!ここはDJである人達は見習わないといけないね。
後、REWINDしなかったよね!これは大きいと思う。過去のANDY CのDJスタイルはREWINDが2時間のセットで多いときは20回くらいはあったし。REWINDした曲のイントロに直ぐさまMIXしてくるスタイルは、今回は無かったね。これはもちろん本人に聞いたんだけど、最近のUKの若いKIDS達は、REWINDに昔程拘らなくなったのと、何曲もMIXして作り上げたフロアーのテンションをREWINDで止めてしまわないようにって考える様になったみたい。この考えは正に賛同出来て、自分もほぼREWINDしないで、ハウスやテクノのDJのように流れ重視でDJをするタイプだから。後、REWINDの文化や考え方がない国のクラブや、フェスでのプレイが増えたのも大きいと言ってた。それと、KNIFE PARTYの曲も何曲かかけてたよね。ドラムンベースのみで押し切るよりも、たまに別ジャンルの人もフックアップ出来る曲をプレイする事は、フェスとかでは特に意味があると語ってた。4ビートの曲でひっかけて、そのままドラムンベースの世界に連れて行ける。うーん納得だし、自分も心がけてるポイント。
FRICTIONも dBridgeも言ってた様に、ANDY CもUKのDUB STEPシーンは一気に無くなってしまったと語ってた。DUB STEPのメインアーティストのSKREAMが、もうDUB STEPは作らないで、ELECTRO HOUSEに移行したのが大きいと思うと。考えてみなよ、もしもANDY Cがドラムンベースじゃなくて、違うジャンルの音楽に移行したら、オーディエンス達はもうドラムンベースは終わりなのか?って思うだろ?それと同じだよって。後、USは今完全にTRAPになってしまったようだね。本当にシーンの移り変わりは早い。自分はそもそもBPM的にかけずらいDUB STEPはほとんどプレイしなかったけど、こんなスピードでシーンの移り変わりがある中、ドラムンベースは今も生き続け、そして、日本ではシーンが広がってる現象はとても大きく意味がある事だって、改めて感じたよ。
彼と帰国前のディナーで、そんな DJや音楽の話を沢山出来て凄く学ばせてもらったし、ANDYがここまで時間をかけて色んな話をしてくれたのは今までそんなに無かった。でも、今回の12周年で彼も東京のシーンや、DJAKiの06Sでのセットはとってもエモーショナルで心動かされて、本当に良いセットだったと心から認めてくれた。アジアの他の街は想像以上に人が入ったけど、ANDYが終わって、ローカルのDJが始まるとお客さんはほとんど帰ってしまうと。でも、東京は最後まであれだけの人が残るってことは、お前のシーンだし、それだけDJAKiはみんなに愛されているんだよって言ってくれた。
思えば、およそ17年前に初めてNYCで ANDY Cのプレイを見たときから、完全にドラムンベースにはまって、自分もこの道でやっていく!と決意させてくれたDJである彼に、本当の意味で認めてもらえた事は、光栄過ぎて感極まったよ。06S 12周年記念パーティーは、そんな大きな宝物をもらったような心境になったし、彼との新たな友情が出来上がった大きなきっかけになる程、他に中々例の無い素晴らしいパーティーバイブだったって事の証明だと思う。そして、やっぱりみんながいるから成し得た12年と心から痛感し、この12年間関わってくれた全ての人に感謝させて下さい。次の13周年そして、15年、20年と自分のグルーブが衰えるまで、俺は走り続けるから。これからもDJAKi共々06S、ドラムンベースをよろしく!この先の歴史もみんなで創り上げるんだよ!