2016-04-28

15年間の重み _ 06Sアニバーサリーを前に想うコト

誰がお前がやっているような音楽を聴くと思ってるんだ? しかもWOMBのような大箱で、こんなパーティーが続く訳が無いだろう。06Sが15周年を迎えるにあたって、何を書くべきか考えてみると、当時の諸先輩から言われたこの言葉を、遠い記憶のようだけど今でも鮮明に思い出した。かなり厳しい言葉であるけど、そう言われても何も言い返せないほど、15年前の自分はDJとして、パーティーを運営する立場としても経験やスキル不足でとにかく無力だった。SNSなんて無い時代だった上に、長い間海外で生活をしてしまった自分には、日本での知り合いも少なかった。それでも携帯に登録されている友人に片っ端から電話して遊びに来てよ! と誘うしか手段が無かったし、もちろん06S開始当初は、正直閑古鳥が鳴いている状況だった事は否定出来ない。あのスタート地点から15年間の記憶を糸を紡ぐように辿って行くと、毎月途切れること無く、約180回に及ぶパーティーを重ねて来たんだなと感慨深く、その1つ1つに記憶と時間が凝縮されていて、はち切れんばかりの思い出と愛が詰まっている現実が、このブログを書きながらジワジワと全身を覆う感覚だ。

いつも言う事だけどDJなんて職業は、1人では何も出来無くて、パーティーに誰も足を運んでくれなかったら、ただのエゴの塊でしか無くて、だったら自分のベッドルームでDJしている方がよっぽど幸せだと思える、例えようも無い特殊な仕事だ。でも、何故15年間も06Sを継続出来たのか? DJという立ち位置の自分から導き出される理由は明確で、06Sをより多くの人達が楽しめる為のアイデアや空間を、本気で身を削って創造してくれた仲間に恵まれた事に尽きる。海外と交渉しDJをブッキングし、来日してくれるアーティストに日本や06Sの素晴らしさをしっかりと感じてもらえるようにケアをする人、パーティーが円滑に進行するように現場の安全を守る人、オーガナイザーとして運営や予算を管理する人、そのパーティー自体の面白さやエンターテイメント性をPRする人、自分以外の過去15年間に出演してくれた多くの演者達等、各所に大事な任務と責任を背負った人が存在していて、そんな適材適所な優秀な仲間達が、辛い時も悲しい時も、たまらない至福感に包まれた時も、お前はDJなんだから、自分のその好きな音楽を前面に押し出してDJブースに立てと、時に強く、時に優しく背中を押してくれた同士が存在したから、06Sは15年間も継続している。正直自分は凄く恵まれた仲間に囲まれ、DJとして最上級な環境を与えてもらっているのは間違いなくて、そんな環境のおかげで、自分の愛する音楽に対して1mmもブレる事無く、信念を持って愛を注いで来られた事実は、何者にも代え難いとても尊い物で、自分の人生に直結している歴史であり誇りだ。


冒頭に書いた厳しいお言葉をくれた諸先輩は、06Sが7年ほどを過ぎた時に、現場に訪れてくれて、AKiに昔強く言った事は間違っていたね。お前達が本気でやりたかった事が、やっと分かったよ。06Sがこんなに多くの人達に支えられて大きくなって本当に良かったと、謝罪と共に心から喜んでくれた。その時は心の何処かにあった一抹の曇り空が一気に晴れたよう気持ちになった。それでも結局晴れ間が見えるまで7年かかったと思うと随分時間が過ぎてたけど、15年はそこから更に8年経っている。この話はほんの1つの話に過ぎ無くて、もちろんこの15年間で紆余曲折し、自分の記憶の中にはそんな話が山のように詰まっていて、良い時も悪い時もあったけど、じっくり振り返ると、06Sに関わる全ての人に愛と強い信念があったから今があるんだと改めて確信する。現在は老若男女、日本各地、国籍問わ無い人達が沢山集ってくれて自分の愛して止まない音楽を思い切り楽しんでくれて、他ジャンルのパーティーには無い、独特な熱気溢れるフロアーが06Sには存在している。ドラムンベースという音楽は、この国日本でまだまだ大きいシーンだと言い切れ無いけど、流行り廃りに左右されるようなブームの波に飲み込まれた事は1度も無かったし、06Sが日本及びアジアのシーン拡大の為に担っている役割は大きいと思う。15年という年月は一言では片ずけられ無いほど長く、もしも06Sが無かったら、今の自分は何をしているのだろう?と考えると恐ろしさすら感じるけど、ずっしりと重厚に15年の年月が自分の心や感情を支配しているなと素直に感じる。たかがパーティー、それでもパーティー。そこに自分の生き様があって、06Sがあったから1人の人間としても成長させてもらっている。本来アニバーサリーだから、もっとライトにおめでたくハッピーです!というようなテンションでいるべきなのかも知れないけど、15年を噛みしめれば噛みしめるほど、身が引き締まる想いが巡る。そして、15年も06Sが継続出来たのは、全てこのパーティーに足を運んでくれるみんなのお陰だと、感謝の気持ちが心の奥底から滲み出てくる。毎年06Sのお誕生日はやってきて、毎年アニバーサリーを盛大に祝ってもらって開催しているけど、15周年の重みは今までのアニバーサリーと全く違う感覚で、自分の中で相当大きな節目だと考えずには居られない。そんな中、スペシャルゲストには、ドラムンベースDJとして最も敬愛する絶対的王者Andy C。彼と共に15周年記念のDJブースに立つその瞬間のイメージが頭の中に巡る今、5月3日に迎える特別な時間を、より強い信念と愛を持って受け止めようと思います。