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2016-07-23

音楽の都ウィーンレポート


7月7日七夕から、3泊5日の強行スケジュールで、約3年ぶり4度目となった音楽の都ウィーンへ訪れた。今回の旅の大きな目的は、オーストリアの首都ウィーンのドラムンベースシーンを牽引する、MAINFRAME RECORDINGS 主宰、DISAZTことダニエルのパーティーが14周年を迎え、そのアニバーサリーパーティーへ招聘してくれて DJをするミッション。しかも、3日で3ギグという中々過酷なスケジュール。過去3度訪れたウィーンのうち2回は、BEATPATROLという大型フェスティバルのドラムンベース・ステージに出演させてもらい、その規模とヨーロッパのダンスミュージックフェスティバルの現状を体感する貴重な時間を過ごし、オーストリアで高い志を持って、シーンに貢献する彼の熱意に共感し、そこからウィーンとのご縁が続いている。

東京成田から11時間のフライトをへてウィーンに到着したのは、夕方の16時。不幸な事に、ダニエルは前週に不慮のアクシデントで、左肘の腱を断裂して車の運転が出来ず、代わりにドライバーのベネが迎えに来てくれた。いきなり懐かしい顔のお迎えは嬉しい。ウィーンは空港から市街地が比較的近く、程なくホテルに到着すると、早速ダニエルから連絡があって、今夜はEUROの準決勝フランスvsドイツがあって、観戦したいからパーティー前に一緒に見ようと誘われ彼の家に到着すると、早速ゲーム開始。用意してくれたディナー中に、フランスのPKが決まると、街中から大きな歓声が沸いた。ヨーロッパの人々にとってEUROはお祭りで、みんなが観戦していて、彼もドイツに50ユーロ賭けてるんだと言っていた。試合が終了して、1日目のパーティーが開催されるベニュー”FLEX”へと向かった。いかにもヨーロッパな佇みで、沢山の人が賑わう川のほとりに位置するFLEXは、ウィーンの老舗クラブで、到着すると木曜日とは思えないほどフロアーはパンパン。バックステージに行くと、VIPER RECORDINGSに所属するKOVEN 2人がこの日のメインアクトで、初めて彼らと出会った。KOVEN前の良い時間にDJを始めると、満員のフロアーの反応が信じられないほど良くて、上げれば上げるほど、フロアーのテンションが高くなって、ウィーンってこんな感じだったかな?と思いながらも、NOISIAの楽曲で、ここまで過剰に反応するのか!?と正直驚いた。1時間終始がっつり掴めた手応えがあって、3年で随分シーンの様子が変わったなと思いつつ、ダニエルがかなりDJが良かったから、土曜日のアニバーサリーは、メイン前の重要な時間帯にDJしてくれと、いきなりタイムテーブル昇格。そして、やる気が更に高まった。
翌日2日目は、以前訪れたことがある、湖のほとりにあるダニエルのご両親の家でお昼からバーベキュー。今年の夏の初めてのBBQがウィーンになるとは想像も出来なかったけど、ビールから始まって、白ワイン、シュナップスというオーストリアのハードリキュールのショットの連続投下で昼間からベロベロで時差ぼけも伴って撃沈。オーストリアの母の味はとても美味しく、最高のランチで満腹になり、湖でお昼寝してから、ウィーンから車で約2時間のヤッブという町に移動。到着すると、そこは、Disco Excaliburというどう見てもいわゆるディスコ。こんな感じのベニューで、ドラムンベース大丈夫なのか?と思いつつも、ここもフロアーのテンションの熱さが、どっから見ても非常に良くて、むしろ上げなMIXと曲を求めているフロアーが意外。日本のディスコでここまでハードなドラムンベースをプレイしたらみんな帰っちゃうでしょ?の真逆。その感覚が嬉しくもなんでここまでドラムンベースに対するオーストリア人の反応が良いのか?謎なまま、再び2時間車に揺られてウィーンに戻って、翌日の本ミッションに備えた。

ウィーンに到着して間もなくその夜にDJをして、翌日は往復4時間の車移動をしてDJの流れで、あっという間に3日目に突入すると、それは当然疲労が。。。この日の出演者で集まるディナーまで、じっくりと睡眠を取って、この2日間で感じたオーストリアの人々の反応を思い出しながら、選曲とMIXを考え直し最終的な調整をして、データをUSBに移行して気合十分でディナーに向かうと、ニュージーランドの古株プロデューサーTREIと、ロシア人ながら、RAM RECORDSからのリリースで、一気にその名をシーンに轟かせたTEDDY KILLERZ。そして、CAMO & KROOKEDに続き、オーストリアのシーンで頭角を現し、この日のパーティーのメインアクト”MEFJUS”等と食事をして、世界各国のドラムンベースシーンの現状を沢山聞くことが出来て、現状を把握出来た。皿よりも大きい老舗オーストリア料理屋の郷土料理、シュニッツェル & クランベリーソースも美味しくて、みんな残しているけど、完食して、この大きさのシュニッツェルを全部食べたやつ初めて見たよと驚かれながらも、食べないと良いプレイは出来ない!と考える自分としては、十二分に満足な食事が取れて更にテンションが上がって、この日の会場、ウィーンアリーナへ到着。まだ24時前にも関わらず、そこは人、人、人。何と3,000人のクラウドが待ち構えていた。正直ダニエルのパーティーMAINFRAMEに3年前に出演した時の規模感は、ほぼ06Sと同じサイズだったのに、この数年で3倍以上に膨れ上がっていた。この事実は正直衝撃的で、分かりやすく例えて言うならば、06SをageHaのアリーナで開催してフロアーも通路もパンパンになっている状況。聞くこところによると、この現象はヨーロッパ中に起こっていて、各クラブパーティーや、ドラムンベースに特化したフェスティバルが各国で開催され、何万人も人が集まる盛り上がりで、数年前には考えられなかったけど、確実にヨーロッパでのドラムンベースムーブメントは、他ジャンルを凌ぐ勢いをみせているらしい。フロアーには3,000人の熱いフリークたちが待っていると考えただけで、武者震いがしたよ。TreiからDJをパスされて、出だしからスタートダッシュを完璧に決めると、フロアーは大爆発。過去2日間の各クラブでの反応から、とにかく攻めて攻めて攻めまくるほど、お客さんが喜ぶ姿が印象的だったから、休みを出来るだけ与えない再構築した1時間セットでそのまま駆け抜けた結果、各所からかなり高い評価をもらえて、今回のウィーンは来るべきしてきたんだ!!とジワリと心にしみる程感動的な時間が過ごせた。本当に自分が愛する音楽を、真剣に完全アウェーのヨーロッパでプレイし、その音や自分のDJに完全にスマッシュされて、信じられないほどの人たちが狂喜乱舞する光景をDJブースから眺める快感。今回のその快感は今までにない、完全に新たなステージへと自分が足を踏み入れてしまったんだと、その現実を身をもって知った。なぜここまでこの短期間でシーンが拡大したのか?それは自分のパーティーやシーンを拡大させる為に大きな要素で最も知りたいポイントだから聞いてみると、やはりヨーロッパ出身の優秀なプロデューサーが何人も現れたこと。もちろんこの日のメインアクトは、MEFJUSだったが、彼はある意味ローカルスターで、外タレでは無い。そこがやっぱり大事なポイントだし、オランダの王者、NOISIAが驚異的にシーンに与えている影響力がかなり強いそうだ。そして、REDBULL発祥の地はオーストリア。MUSIC ACADEMY等に代表される音楽を強力にサポートする企業が目の前にいるのも大きいらしく、ダニエルのレーベルの曲はRED BULLのAPP内で全カタログ聞けると言っていた。聞いて思ったけど、正にそれらの要素は日本にかけているところで、数多くのローカルスター出現は、切っても切れない話で、日本でも強化すべく、また自分のレーベルを再開しようと思ったし、今回のウィーンの旅で学んだことは非常に大きかった。最高の舞台を与えてもらって、DJプレイ自身も覚醒したから、DJとして自分はヨーロッパでやっていける!と確信と自信が持てたのは、とても意味があり、もっともっと海外に攻め込んで結果を出していきたい欲求が高まっている。今後は、自分がやるべきことを更に極めて、海外を攻めていこうと決意したので、遠征組は海外渡航用の資金を貯金し始めてくださいね。



2016-05-11

06S 15周年記念パーティー心から最高でした!

人は何を目的に生き、何を至福だと定義して生きているのだろうか?06S 15周年記念パーティーが終了してから1週間が過ぎても、そんな言葉が静かにそして深く脳裏に巡り続けている。アニバーサリーを共に祝ってくれて本当にありがとう!と声を大にして日本全国からお祝いに駆けつけてくれた人々に、即座にお礼のブログを書くべきなのは重々承知だけど、15周年を迎えるまでに張り詰めていた緊張感と、15年間の思い出の記憶を辿るにあたって費やした時間が、思いの外自分の生き方や考え方に対する影響力が強くて、この1週間あっと言う間に過ぎてしまった感覚だ。長い時間を費やし、少しづつ積み上げてきた自分にとって掛け替えの無い宝物であり、30歳から自分の人生全てをかけて築いてきた06S。自分の活動拠点であり仲間達との熱い友情の結晶であるこのパーティーが15歳になったんだなとパーティー中に痛いほど実感しまくって正直感無量だった。最近クラブ遊びもめっきり減って、日本のパーティー事情に疎くなっているのもあるけど、あんなに熱気が溢れていて、DJと素晴らしいオーディエンスが一体となるパーティーがあるのだろうか?と感動すら覚えた。でも、不思議と涙が流れてしまうような感情的な気持ちでは無くて、達成感と共にまだまだこのパーティーを成長させて可能な限り行けるところまでやり尽くしてやる!と言うような強い意志がそこには生まれている。自分の人生なんてちっぽけで、人生をかけてなんて大袈裟だなと思われても全くもって問題が無いんだけど、あのDJブースに立って、1人のDJとして自分の持つ力を存分に発揮し表現する事が、己の生き方であり、至福の時なんだと改めて実感したんだ。

今回のアニバーサリーを記念して来日してくれたANDY Cは、元々アジアツアーが丁度この5月に綺麗にはまる案件だったのもあって、最高のタイミングで来日してもらえて、共にこの大きな節目を祝えられると、半年以上前から決定していたんだけど、2ヶ月前に連日連夜世界中からオファーが絶えないDJブッキング調整が困難になり、スケジュールの都合が厳しくなったのが理由で、アジアツアーのキャンセルの通知が届いていた。代替えのアーティストも考え無いといけない状況になっていて、2ヶ月前にアニバーサリーに見合う大物DJをブッキングするのは、もちろん不可能な上、彼以外思い当たるアーティストが居ないのもあって、本マネージャーでもある、RED ONEに直接自分から懇願した。WOMBもリニューアルして環境が格段に良くなったし、06Sの15周年は是が非でもANDYに来て欲しい。仮にアジアツアーは無理でも日本だけには来てくれないか?と。すると半ば諦めていたブッキングは好転して、AKiがそこまで言うならと、最終的に東京と大阪、2日間の日本ツアーが決定した。最後まで諦めずに出来る限りの手を尽くしてくれた、WOMBブッキング担当で長年に渡って交渉役を務め、サポートしてくれている、初芝カナちゃん。オーガナイザーとして多くの調整をしてくれるケイちゃんとサブ。現場を常に円滑に運営してくれる桃井さん。どんな相談にも真剣に乗ってくれるk2hgとタケオパパには感謝以外の言葉が思いつかない。簡単なようで、それだけジャンル問わず世界を股にかけてシーンを牽引するようなトップDJを、極東島国日本に招聘するのは簡単では無く、そこにも15年間で積み上げてきた今までの友好的な信頼関係が存在している。

そんな奇跡的に成就したブッキングによって来日してくれたANDY C。自分自身も06Sの12周年記念に来日してくれた時以来のDJプレイで、この3年間海外で見られる機会が無かった分、どんなプレイを体感出来るのか?期待しまくっていたけど、ドラムンベース界の絶対的王者と形容するに相応しいDJプレイだったのはもちろん間違いない。日本に来日するまで9日間連続でヨーロッパのギグをこなし、今回の日本は2日間だけの滞在で2ギグ。これほど人気があって忙しいドラムンベースDJは他に存在しないし、体力的にも精神的にも、そんな過酷なスケジュールを乗りこなせる人間自体そもそも居ないんじゃないか?と容易に想像出来るけど、そんな心配は全く無用で、今回の2時間は完璧と言うに相応しいDJセットだった。まだ聴いたことが無いカッコイイ!と素直に思える曲と曲のダブルドロップによって醸し出されるマッシュアップ感満載のMIXに、往年のヒットクラシックチューンも絶妙に差し込む連続投下は驚愕の連続で、学ぶ的要素がふんだんに詰まりまくっていた。彼のDJ機材のセットアップは、Traktor使いでアレン&ヒースのミキサーに、3台のターンテーブル。まるでシンク機能を使ってるんじゃないか?と疑ってしまうほどのピッチコントロールに、ミキサーの特性を熟知した絶妙なフィルター操作。緻密な計算によって次々と繰り出されるはめ殺し的テクニック。ドラムンベースを知り尽くした知恵。15年以上にわたってトップDJとして君臨し多くのステージで積み上げた経験値。全てが一体になって表現される音がANDY Cたる所以を決定的に見せつけられた。でも、昔はもっと曲芸的な強引なMIXも多かったけど、今回は程よいロングブレイクを多用しているのもあって、この3年で大分違った印象を受けたのもあって、パーティーが終わってからANDYに問いかけた。セットの印象が以前と大分変わったのは、彼自身がここ数年敢行している6時間ロングセットや、世界中の大型フェスに出演し続けている影響があるのか?と。答えはYESで、15歳でセンセーショナルなデビューを飾ってトップランナーとして走り続けている彼も、既に40歳になり、若かりし頃は、ガンガンに攻め込むセットを組み込んでいたけど、最近は感情に直接響くようなエモーショナルな音もしっかりプレイしたいし、ステージやクラブが大きくても小さくても自分はDJをするのが心から好きだから、常に同じ気持ちで挑んでいると。本当にプロフェッショナルなドラムンベースDJだと思ったし、AKiこの15年間180回も良く日本でパーティーを続けてくれたね。Ram Recordsの為とかでは無くて、ドラムンベースシーンにとって、この東京でのパーティーは重要で本当に尊敬に値するし、ありがとうと語ってくれた。絶対的王者からのこの言葉で、この15年が報われた想いがしない訳が無い。

日本にドラムンベースの魅力をもっと伝えたい。こんなに素晴らしい音楽があるんだ。そんな気持ちで仲間と15年前に開始した06S。今回はノルウェーに移住した MY MCのYUUKIが居てくれたのも、やっぱり最高だった。彼は俺がして欲しいことを全て現場でフォローしてくれる。やっぱりYUUKiが居ないと06Sじゃないなぁとか考えながら、自分のセットが終わってみると、山のような思い出と共に迎えたパーティーは、一瞬で終わってしまった。終了の朝5時を迎えても沢山の人が楽しんでくれている情景は、心から美しいと感じるし、DJとして出演してくれたSIMO、VELOちゃん、もちろん参加してくれたみんなには心から大きな感謝です!本当にどうもありがとう!! これからもみんなと共に5年、10年、15年と歩んで行きたい欲求に満たされた、死ぬまで記憶に残る大きな夜でした。

P.S. パーティー最後の朝5時の模様を360度カメラで撮影した映像がこちらで見られるので是非 → https://www.facebook.com/djaki.tokyo/videos/10154154329842329/

2015-06-01

静岡36時間の旅

初めての街に訪れDJをするのは、この上ない喜びであり、とても幸せを感じる大事な時間と経験。それと同時にいつも以上によりインパクトが強いパフォーマンスをするのも重要で、DJを始めた時から全くブレていない、ドラムンベースの魅力を伝え、少しでも日本のシーンが拡大して欲しい想いを昇華させ為の大切な機会だ。先週末は、そんな想いと共に初めて静岡県浜松市のBASS MUSICパーティー"EFEKT"に招待してもらった。長い間 DJをしていると、仕事の依頼メールの文面を見れば、どれくらい真剣な想いでパーティー開催に努めているか推測が出来る。EFEKTクルーの代表でオーガナイザー兼DJの加藤君は、某自動車メーカーの車のデザイナーで、メールの詳細や文面がとても律儀で仕事が出来る人だな、と印象が強かった。先日の大阪での舞音楽祭にも顔を出してくれたし、しっかりと挨拶もしてくれて、今回訪れる前から浜松でのDJは楽しい事になりそうだと感じていた。

会場のPlanet Cafeは、20年間浜松の音箱として存在し、浜松のダンスミュージック好きに支持されてきたクラブで、箱の規模は大きくは無いけれど、しっかりと音が鳴っていて、十二分に音楽が楽しめるサウンドシステムが装備されている。20年継続出来ているクラブは、もしかしたら日本最古かも知れない。長い歴史に裏付けられている通り、スタッフの皆さんの仕事振りも対応もとても心地良かったし、お酒も美味しかった。もちろんそんな素晴らしいクラブのスタッフとパーティーを形作っているEFEKTクルーも、みんな真面目で音楽が純粋に好きな人達やDJの集まりだった。

DJをした感想だけど、浜松に訪れる前日に、既存のDJセットに新曲をまんべんなく散りばめて、上げ進行でありながら、ドラムンベース及び、BASS MUSICの魅力を余す事なく伝えるイメージをしていたんだけど、そのイメージが思いの外奇麗にはまって、フロアーの爆発力は、小さな地方都市とは思えないテンションで、東京や関西からの遠征組も含め、お客さんのノリが素晴らしく、スタッフのみんなも終止笑顔が溢れ、とても良いパーティーバイブだった。どんな場所でDJをする時でも、場所に合ったイメージに沿って、フロアーの反応を見つつ、DJ中に軌道修正するケースが多々あるけど、浜松の人々は、想像以上にドラムンベースの理解度が高く、常日頃から地元のDJ達が、自分たちのシーンに正しい音を伝えていると実感出来た。いつも思うけど、街の規模やパーティーの大きさに関わらず、最終的にはどんな人がどんな目的を持って、パーティーを開催しているかがとても大事で、色んな街でDJをして来た自分としては、浜松はかなり有り!! なパーティーだった。先日の名古屋も良かったし、東海地方は東京や関西とまた違った人と雰囲気、面白さがあると思う。そして、浜松名物と言えば、ウナギ!ウナギ大好物なんだけど、パーティー当日に連れて行ってもらったのが、浜松駅前の八百徳本店。うな重と迷いつつも食べた櫃うな茶漬けは、刻みネギとワサビをたっぷりと乗せて出汁を注ぐスタイルで、名古屋の櫃まぶしの印象とは違って、若干味が薄味で食べやすく、代々引き継がれている秘伝のタレと、厳選された活きの良いウナギの旨味が十二分に堪能出来る納得の老舗の味だった。肝焼きも美味しかったし、ウナギのグルーブも相まって納得のDJが出来た事は間違い無い。そして、今回静岡掛川から参戦したSIMOが泥酔して、パーティー終了後自分のPCや機材が入った鞄を残したまま行方不明になり、クラブ近くのビルとビルの間から発見されたのも、パーティーがいかに素晴らしかったかを象徴している(笑)

パーティー翌日は、レイトチェックアウトから静岡名物さわやかのハンバーグを食べて浜松を発ったんだけど、東名高速道路を走っていると、神奈川県に突入する直前に玉突き事故による渋滞18kmの表示が。。。とにかく渋滞にはまるのが大嫌いで、ひとまず、足柄SAで停車してどうしようか考える事にしたんだけど、以前足柄SAに立ち寄ってfacebookに写真を投稿した際に、常日頃からいつも温かく応援してくれているミカネーサンが、近くに住んでいるから呼んで下さいよってコメントをくれた事を思い出して、twitter越しに近くの良い温泉が 無いか教えて欲しいとメールをすると、即返信が来て迎えに来てくれると。それは悪いから温泉の情報をカーナビに入れれば自分で行けるから大丈夫だよと言っても、地元民が行き来出来る場所があるからと。言われるがままに車をサービスエリアに停めて待っていると、10分もしないうちに迎えに来てくれた。足柄SAに、地元民専用の裏口があるなんて知る由も無かった。

温泉は趣味だから日本中の温泉地に訪れたけど、富士山近辺の温泉は、あんまり良い印象が無かったんだけど、連れて行ってくれた、あしがら温泉は、小山町という小さな街合いのおもいっきり田園風景な場所に位置していて、町立な公共温泉で、所謂スーパー温泉的な施設では無く、こじんまりとしつつも地元の人々に愛されている温泉場で、掃除もしっかり行き届いている建物で、柔らかな肌触りのお湯は身体が芯から温まり、浜松での疲れを奇麗さっぱり洗い流してくれた極上の泉質だった。天気が良かったら露天風呂から富士山を目の前に望めるロケーションも最高だし、本当に良い温泉は、豪華絢爛な施設に限らず、今回訪れたような場所にあると改めて実感出来て、忘我な時間を過ごせた。およそ36時間の旅だったけど、ナイスな人々と楽しいパーティーを過ごせて、食事も美味しく、最高の温泉に浸かれた。地元の人達に導かれて贅沢な時間と経験を頂けるから、DJという仕事はやっぱり止められないと思った静岡へのショートトリップ。身も心も満たされた楽しい時間でした。

泉質 : アルカリ性単純温泉(アルカリ性8.8ph、低張性、低温泉) / 効能 : 神経痛、運動麻痺、慢性消化器病、病気回復、健康促進等


2015-05-12

6度目の6時間DJセットを終えて

6時間という長丁場のロングセットをこなせるDJは、音楽に対する溢れんばかりの愛情と、数々の修羅場を通った経験、長年音楽を聴き続けた時間によって蓄えられた知識、途切れない集中力、そして、もちろん最後迄踊り続けながら楽しくDJが出来る体力が無いと絶対的に成し得ない。そんなロングジャーニー(長旅)は、ゴールした時に今迄体感した事が無い充実感と達成感を味わえるけど、緻密な計算による組み立てが必要で、時間の経過と共に自分が知りうる音楽の魅力を十二分にフロアーに伝え、聞き手側に飽きさせる事無く、波のように快感や歓喜を6時間に渡って与え続けないといけない。

今回 6 回目を迎えた、Jupiter 6 Hour Journey だけど、約1年に渡って過去5回体感して得た経験をじっくりと振り返って、何が正しくて間違っていたか?、自分に問いかけて今回のJupiterに向けてたっぷりと時間をかけて6時間を構成し選曲する事を試みた。音楽的な話だけど、ドラムンベースは昨今本当に多種多様に細分化が始まって、一口でドラムンベースと呼んで良いのか?と思う程様々なプロデューサーやレーベルが存在する。大きく分けて dBridgeの”Exit Records”が創り上げた、ドラムとベース、ほんの少しの上物のみで構成されるようなミニマルでディープなカテゴリー。あのRoni Sizeの才能を世に送り出した、歌ものやオーガニックな音源で構成される楽曲が主軸のBryan Gの老舗レーベル “V Recordings”に代表される、リキッドと言われるカテゴリー。DJ Hype が主宰する”True Playaz”が前身のレーベル”Playaz Recordings”が長年打ち出しているジャンプアップスタイル。リバプールに拠点を置き、この10年で最も飛躍したサイバーハード系スタイルレーベルで、Futureboundが主宰する”Viper Recordings”。優秀なメロディーメーカーを多数抱える”Hospital Records”。ドラムンベース界のキングと呼ぶに相応しいAndy Cと、彼の片腕で父親をフリーメーソンに持ち、シーンのトップを走り続ける由縁となっている、才覚溢れるやり手レーベルオーナーRed Oneが運営するNo.1レーベル”Ram records”。このレーベルは近年サブレーベル ”Program”も立ち上げて新種の音を産み出す若手プロデューサーによる音にも着目し、本体のRam自体もカテゴリーすら不可能な程、幅広いスタイルの楽曲を常にリリースし続けている。もちろん我が愛する天才STYが書き下ろしたASYのアルバム#Zero _ ASY からの楽曲も!ここに書いたレーベル以外にも本当に沢山のアーティストや音楽が存在していて、1つのジャンルでこれだけの幅がある音楽性は他に無いと言っても過言では無いし、どんどん進化していくドラムンベースの虜になって20年近く経つ自分としては、この音楽に関わってしまった時間を運命としか思えないし、近年のこの進化は、目覚ましい勢いだ。そして、Good Musicであればカテゴリー問わず何でもプレイしたい性分で、1晩の責任をDJとして自分1人で背負う行動は、1人っ子の自分に凄く適していて、積み上げて来たキャリアにより大きな影響と経験を与えてくれる。

閑話休題。今回の6時間セットは出来るだけハードな時間帯を少なめにしようと思案した。普段の DJAKiのイメージはハードでブチ上げ系で攻めのスタイルだと通常認識されている。06Sが14年にも渡って打ち出している音楽は、サイバーで無茶苦茶に踊り倒せる、大箱に映える音源を主体にパーティースタイルを築いて来たけど、それ以外にもドラムンベースには、素晴らしいエモーショナルな音楽が沢山あるから、折角6時間も持ち時間があって、自分1人で1晩に渡って表現出来る贅沢で大切な機会を、06Sとは違った形でより探求したかった。そして、大箱では出来ない Faiの特性を生かした音楽を次々に紡いでいく事によって産まれる雰囲気やフローを1番に考えた。Faiのサウンドシステムは小箱でありながらフロアーの音の鳴りが良くて、東京のクラブの中でもベースサウンドを感じるには最適なクラブと言える。ベースあってのドラムンベースだから、あれだけベースが鳴っていると音楽の理解度がぐっと上げって、よりその魅力を気付けると思う。そして、この数年で自分好みの音を紡ぐべく、自分のいくつかのハードディスクの中に保存されている無数の曲の中から可能な限り掘り出してみた。通常6時間だと1時間平均30曲と考えてもおよそ180曲分が必要だけど、現場の雰囲気に応じて予定のDJセットから曲を抜き差しつつMIX出来るように、新旧織り交ぜて200曲用意し、特に今回は浮気する事無く、100%ピュアにドラムンベースをプレイすると決めていた。

初めて6時間セットに挑んだ時は、終了してみると、かなりヘタレてしまって、自分の体力の無さと、全然時間をコントロール仕切れ無い感覚があったけど、6回目ともなると30分単位で経過する時間を大分掌握出来るようになったし、6週間で10kg近く体重を絞った分だけ身体が軽くて、グルーブも軽快だったと思う。各時間帯のフロアーに居るみんなの様子も手に取るように感じられたし、約180回のMIXは基本的にイメージ通り組み上げる事が出来て、100%完璧では無いけれど、かなり100%に近い形になって、新境地を垣間見れた6時間になった。

Jupiterに遊びに来てくれる人達は、心底ドラムンベースとDJ AKiが好きで、フロアーから跳ね返ってくるエネルギーの純度が非常に高い。好きな曲に涙している人、黙々と音楽にはまって踊り倒している人、椅子に座って音楽に聞き入る人、仲間と楽しく会話してパーティーの雰囲気を楽しんでいる人、泥酔して立ってるのも危ういのに踊り続ける人、その泥酔者を手厚く面倒看てる人、Mixを繰り広げるたびに絶叫する人、ニナクラよりもDJ AKiを選んでくれた人、女装してる人、たまたまFaiに来て踊らされちゃった人、06SでドラムンベースにはまってJupiterにも来てくれた人、始めてクラブに来た人、赤塚不二夫の漫画に出て来そうな顔でもRam RecordsのT-shirtsを着てる人、ヘドバンシスターズにセクハラする人(SIMO)等、本当に多種多様。フロアーからブースが近い分、それぞれの人の動きや様子がはっきり分かってるんだよ!(笑)クラブと言えば、ナンパとか、欲望が渦巻く場所だとイメージを抱いてる人が多いかも知れないけど、少なからずJupiterには、そんな事は全く無くて、純粋に音楽を楽しむみんなの笑顔が溢れ弾けている印象が強くダイレクトに感じられる。まだ100人規模のパーティーで、決して大きくは無いけど、継続する事で、2倍、5倍、10倍のサイズになるように、より濃密で愛が溢れるJupiterになるようにイメージして、これからも6時間を楽しんで行こうと思う。だってDJ AKiは、Jupiterに関わってくれる人や、遊びに来てくれる人達を愛さずに居られない訳ないからさ♡

Photo by Igarina. Big Thanx to Fai Aoyama , K2hg(9B) , Yuuki MC , Future Forces Crew and all lovely people who came down to Jupiter DJAKi 6 hour Journey☆

2015-04-25

メッセージを伝える意味



DJは人前で音楽をかけてる人でしょ?が一般的に認識されているよね?全然それは間違って無いんだけど、実際人前で2曲を繋いで何時間ものジャーニーを作るのは正直簡単では無くて、そこには深い色々な意味合いやテクニック、経験が必要だけど、大きな失敗をして痛い目を見たり、練習で出来る事も何故か本番だとうまく行かないのが DJというもの。もちろん音楽のチョイスもMIXもフロアーで踊ってくれる人達に対して臨機応変に対応するのも重要で、軽い気持ちのノリだけでは、人を楽しませる事は絶対に出来ない。自分は芸能人DJやモデルDJでは無いから、音楽と自分のグルーブをいかにして表現し、フロアーに落とし込むかが最も重要だと思っている。そんな全く一般的では無い特殊な仕事であるDJは、DJ = アーティストでもあって、音楽を流すと共に、自分の人間性やキャラクター、ライフスタイル、メッセージを伝える事で、サポートしてくれる仲間達との距離をより近く出来るし、どんな想いでアニバーサリーを盛り上げたいのか、そして、お祝いしたいか。このパーティーに対する気持ちが共有出来るから、このメッセージ映像を作るか、作らないかで大きな差が生まれる。

今回の06S 14周年記念パーティーのメッセージビデオでは、何を伝えるべきか?今年に入ってからゆっくりと考えていたけど、個人的な話をしてしまうと、ここ数ヶ月のプライベートで1本のドラマが作れるんじゃ無いか?と思う程色んな事が起きて、数々の問題に打ちのめされて、生活が激変した結果、体も壊し、俺はもうダメなんじゃないか?って凄く深く考える時間があった。そんな状況から見つけ出せた答えは、自分には音楽があって、やっぱりこれをやり抜くしかないという想いに最終的に着地した。過去にもこんな経験があった時に、音楽が何度も救ってくれて、そのおかげでドラムンベースDJを軸にした生き方になって、やる気と本気度が高まったおかげで今があるんだけど、今回は今迄に味わった事の無い強い気持ちになれたんだ。音楽は絶対に1度も俺を裏切らなかったし、愛せば愛す程、その想いに応えてくれる自分の人生にとって本当に大切な存在。だから自分のライフスタイルが激変したとしても、この愛し抜いたドラムンベースという音楽にもっと真剣に向き合っていきたいと考えたし、自分のこの想いに賛同してくれる仲間達と一緒に切り開く新しい世界を見たいと考えたから、SHAPE THE NEW WORLD (新しい世界を形作る)というメッセージを伝えたかったんだ。

ダンスミュージックのパーティーは東京だけでも無数にあって、でも14年も継続出来てるパーティーは、ほんの一握りで、しかもこんなマイノリティーなジャンルな上に、WOMBで開始した当初は人も全然集まらなかったし、こんなパーティーやってんじゃないよ!って苦言を呈する先輩方も沢山居た。凄い勢いで一気に上り詰めた事は正直1度も無かったけど、徐々にゆっくりゆっくりと右肩上がりに、ジャンルの認知度も、集客数も上がってきて、今の形が出来上がって来週14周年を迎える。もちろん感慨深いし、山のように良い事も悪い事も沢山の思い出が詰まっている。そして、こうして14年経っても仲間や応援してくれるみんなと、アニバーサリーをお祝い出来る現状が、当たり前のようで、実は凄く尊く未来のある事だと改めて心に刺さり、14周年の節目が自分にとって新しい世界の始まりなんだと!強く感じたんだ。 


この映像制作に向けて、アイデアをまとめて、自分で絵コンテとシナリオを書いて、グラフィックをアートディレクターのK2HGに相談して、映像作家のNUMANにメッセージや、やりたい事を伝え、撮影と編集を一気に仕上げてもらって、このムービーが出来上がった。撮影はたった3人の少数精鋭でやったし、絵コンテに基づいて必要なカットをその場で考えていった。俺のこの殴り書きの絵コンテでもイメージが伝わる感覚ってもう10年以上一緒に沢山の作品を作ってきたからこそであって、自分のイメージを完全に超えて上質な作品に仕上げてくれる2人には、感謝してもしきれない。そして、最初に書いたシナリオに思いっきりダメ出しされて、最善の答えを見つけるべく3時間も熱い討論をしてくれたタケオ。この映像用に曲をエディットしてくれたMAOZON。ナレーションをレコーディングしてくれたDIGZのグレッグ。パーティーの模様を撮影してくれたCHA2。たかだか2分間の映像と言っても、誰でも簡単に作れる訳ではなく、それぞれ関わってくれた人達の06Sに対する熱い想いや、技術。そして、愛があってこそ。そんな中で純粋に何かを産み出すクリエイティブな作業って楽しいし、本気でDJをするのと同様にこれからもリアルなメッセージをしっかりと伝えて行こうと改めて考えさせられた。このメッセージが沢山の人に届いて、シンプルにこの映像を見て楽しそうだから06Sに行ってみよう!って思ってくれる人が1人でも増えたり、スタッフやお客さんの士気が高まってくれたら、メッセージビデオを制作した意味はとても大きい。5月2日の06Sは、いつもの仲間も、初めての人も、みんなで1つになって心からアニバーサリーを盛大にお祝いしようね。