2017-09-22

Ultra Music Festival Japan 2017

9月18日、日本で最大にして最も勢いがあるフェスティバル”Ultra Music festival Japan 2017”の3日目最終日のライブステージに出演した。3日間で12万人が集結したこのフェスは、初日2日目と台風に見舞われて大雨の中の開催だった2日間が嘘のように、最終日は朝から秋とは思えぬピーカンなお天道様が登場。20年間屋外でDJをする時に、自分のDJの時間帯に1度も雨が降ったことが無い自分としては、当然晴れると信じていたし、むしろ暑すぎるその夏日なお天気は、DJブース内の体感温度が非常に高く、子供の頃に風呂でのぼせたり、中学生の頃に激しく走りこまされて失神寸前だった部活を思い起こさせるような状態だった。台風をも吹き飛ばす晴れ男伝説はまだまだ終わらないし、何度も言うけど、ここまでくると屋外フェスを計画している方々は、てるてる坊主代わりに、DJ AKiをブッキングした方が良いですよ!と言いたい。

有難いことに UMFとはご縁があって、初めて2013年の韓国のUMFに出演して以来、2年振り4度目となった今年のステージから、余韻と興奮が冷めやらぬまま3日が過ぎたけど、今回受けた経験は今後自分が進む道が何処に向かい何をすべきか、明確にその方向性が見えた掛け替えのない経験になった。

今年の夏は、自分にとって大きな流れがあって、先月チェコ共和国で開催された世界最大級のドラムンベースフェスティバル”Let It Roll”に出演するために、クラウドファンディングで”Let DJ AKi Roll”プロジェクトを立ち上げて、多くの方々から支援を受け、Shimonが主宰するレーベル”Audio Porn”のステージに立つ機会をもらった。ヨーロッパのシーンの現状を目の当たりにし、その規模感と音の振動を身体全身に受けるサウンドシステム、そしてオーディエンスの音に対する真剣さ、スマホなんていじらないでひたすら楽しみ尽くすそのアティテュードに圧倒されて、自分が今まで信じて愛して来たドラムンベースの価値観がひっくり変えるような、とてつもない経験をした。当たり前なんだけど、フェスでDJをするという事は、クラブでDJをする事と似て非なる行為であると多分に学び、自分としては、チェコでの時間から UMFまでの一連の流れはずっと続いていて、着地した最終地点が、お台場の会場だった。
DJキャリアが20年を超えて、自分の人生の半分近い時間を費やし、振り返ると良くもこんなに長く継続して来られたなと、自分でも思うけど、今回の UMFでは、より冷静に、そして激しく、今まで信じて来た音、そしてヨーロッパで体感し、新たに産まれ変わった自分を表現する事が最大のテーマで、その為に考えられる演出の為に最強の布陣でステージに挑んだ。

まずは、長年の相棒である YUUKi MC。彼は現在ノルウェーに移住して1年が立ち、共にステージに立つ事が当然のように困難になって、この1年はYUUKiが居ない状態でステージに立ち続けた結果、彼がフロアーをどれだけコントロールしてくれていたのか、身を持って知って、その存在の大きさに改めて気づいていたけど、今回はこのステージの為にノルウィーから、フェスの当日に帰国してくれた。久しぶりに長年の相棒が一緒にステージに立ってくれるその安心感は精神安定剤のようなもので、いつもの自分を保てる大きな助け舟になってくれた。そして、チェコにも同行してくれた VJのYAKO君。彼は長年自分のレジデントパーティーである 06Sに、15年以上通ってくれて、どんな映像演出が DJ AKi及びドラムンベースにとって大事で必要か知り尽くす VJで、今では 06Sでバイマンスリーで VJをしてくれて居て、この日の映像演出の為に新たな映像を製作してくれた。そして、日本を代表するライティングマスターの AIBAさん。もう説明無用なプロ中のプロである彼は、17年近く照明をコントロールしてくれる心から信頼出来る人で、隣のエリアだったレジスタンスの照明演出担当だったにも関わらず、DJ AKiの時間帯にライブステージに乗り込んでくれた。また、今回はいつもの 06Sの最強メンバーに加え、シークレットゲストとして新たに UMFのステージに参戦してくれたのが、只今、フリースタイルダンジョンで2代目モンスターとして熱い注目を集める MCの ACE君。実は彼とは2回 Tokyo Street Collectionというイベントで、WombとageHaで共演し、その鉄の心臓から繰り出すマイクパフォーマンスでコントロールするフロアーの掌握力、Hip Hopの MCでありながら、ドラムンベース MCとしても、面白い化学反応を起こすスキルと、ステージの立ち姿の貫禄を強く DJブースから感じていて、また共演してみたいと思っていたアーティストだった。今回はライブステージに出演だったのもあって、長年の相棒の YUUKiに加え、ACE君がステージに立ってくれたら、更にライブ感が増して新しい結果が産まれるとイメージして、自分から直接彼にオファーをすると、出演の承諾をしてくれた。

そして、ACE君が登場の際にプレイしたオリジナル楽曲を長期間に渡って製作してくれた GAKちゃん。チェコにも同行してくれてドラムンベースの真髄を体感した彼との音源を、より本物の UKサウンドに仕上げてくれた、レジェンドと呼ぶに相応しいプロデューサー SHIMON。これだけ役者が揃えば、後は自分の仕事をするだけ。45分間の短い出演時間だったけど、より濃縮されたバイブとフローを生み出すであろう、フェスでの DJはこうあるべきだ!と思うセットを何日もかけて塾考した。

DJ AKiは毎月23時から朝の5時まで6時間セットを Fai青山で開催しているパーティー”Jupiter”で、UMF2日前に、その考え抜いたセットをぶちかまして、強い手応えを感じ取った上で、更にセットを微調整してステージに挑んだ。正直、今回のライブステージは、バンドがメインだったから各出演者の転換時間が30分ほどあって、音が止まる状況からスタートする状況で、そこに関してはどうなるのか?当日を迎えるまで全く想像ができなかったし、UMFというフェスに初めて設置されたライブステージで、今の自分がどういった形で乗り越えられるか、自分がどれだけの運を持っているかの腕試しで、全く響かない可能性もあったし、最高の結果が生まれるかも知れないし、とにかく半信半疑の玉砕覚悟でステージに立ったのは素直な気持ちだったりもする。しかし、今回の UMFでは媚びる事なく自分が信じる音と共に、最強布陣で挑んだおかげで、いつものように全く緊張や気負いすることなく、DJを開始した。

スタート前は、ほとんどフロアーに人が居なかった開始直後から、時間が経過すると続々と人が集まって来て、ブースからは誰か分からない程遠くで、激しく踊る人たちが数え切れないほど居て、音と映像、照明、MCが三位一体になって、爆発力が産まれた。フロアーから跳ね返ってくるバイブを、ガッチリと掴んで、冷静にコントロール出来た事は、チェコでの時間を経験したのが大きく、今までの自分とは違うサイズ感や心境によって乗り越えられたのが、何よりも大きな収穫だった。そして、一切リハーサル無しでのぶっつけ本番だったにも関わらず、長年に渡って多くの時間を共に過ごしたチームの阿吽の呼吸は、DJ AKiの意図を言葉なくして感じ取ってくれるプロフェッショナルなメンバー達のおかげで、台本が無い大舞台で逆に緊張感が産まれて、よりライブ感が高まったのは間違いない。DJという職業は、フェスのような屋外の大きな場所で1人で出来る表現に限界があって、周りでサポートしてくれる人々がいてくれるからこそ、DJのみで出来ることの表現力との大きな違いが発生して、彼らが居てくれたからこそ今回のステージが完成した。自分は本当に優秀な人々に囲まれて、恵まれていると改めて心に沁みる時間になった。

もちろん、この日を目指して UMFに足を運んでくれた人々のサポート、 今回の出演機会や手厚いホスピタリティーを与えてくれた、AVEX及び、UMF関係者には多大な感謝と共に、この経験を糧に更に飛躍したいと考えている。長いようであっと言う間だった20年のDJキャリア。今はまだ夢の途中。今回の UMFを新たなスタート地点と捉え、DJ AKiはネクストレベルへ踏み出すので、これからもよろしくお願いします!! 

Massive Shout to : Fukagawa (Avex), Takeo,Itti (High Concept), Sabi,K2hg(9B), Momoi,Keisuke,Kana(Womb), Fai Aoyama , Seigo Kamiyama(3 faiths DJ School)