ラベル BLOG の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル BLOG の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017-09-22

Ultra Music Festival Japan 2017

9月18日、日本で最大にして最も勢いがあるフェスティバル”Ultra Music festival Japan 2017”の3日目最終日のライブステージに出演した。3日間で12万人が集結したこのフェスは、初日2日目と台風に見舞われて大雨の中の開催だった2日間が嘘のように、最終日は朝から秋とは思えぬピーカンなお天道様が登場。20年間屋外でDJをする時に、自分のDJの時間帯に1度も雨が降ったことが無い自分としては、当然晴れると信じていたし、むしろ暑すぎるその夏日なお天気は、DJブース内の体感温度が非常に高く、子供の頃に風呂でのぼせたり、中学生の頃に激しく走りこまされて失神寸前だった部活を思い起こさせるような状態だった。台風をも吹き飛ばす晴れ男伝説はまだまだ終わらないし、何度も言うけど、ここまでくると屋外フェスを計画している方々は、てるてる坊主代わりに、DJ AKiをブッキングした方が良いですよ!と言いたい。

有難いことに UMFとはご縁があって、初めて2013年の韓国のUMFに出演して以来、2年振り4度目となった今年のステージから、余韻と興奮が冷めやらぬまま3日が過ぎたけど、今回受けた経験は今後自分が進む道が何処に向かい何をすべきか、明確にその方向性が見えた掛け替えのない経験になった。

今年の夏は、自分にとって大きな流れがあって、先月チェコ共和国で開催された世界最大級のドラムンベースフェスティバル”Let It Roll”に出演するために、クラウドファンディングで”Let DJ AKi Roll”プロジェクトを立ち上げて、多くの方々から支援を受け、Shimonが主宰するレーベル”Audio Porn”のステージに立つ機会をもらった。ヨーロッパのシーンの現状を目の当たりにし、その規模感と音の振動を身体全身に受けるサウンドシステム、そしてオーディエンスの音に対する真剣さ、スマホなんていじらないでひたすら楽しみ尽くすそのアティテュードに圧倒されて、自分が今まで信じて愛して来たドラムンベースの価値観がひっくり変えるような、とてつもない経験をした。当たり前なんだけど、フェスでDJをするという事は、クラブでDJをする事と似て非なる行為であると多分に学び、自分としては、チェコでの時間から UMFまでの一連の流れはずっと続いていて、着地した最終地点が、お台場の会場だった。
DJキャリアが20年を超えて、自分の人生の半分近い時間を費やし、振り返ると良くもこんなに長く継続して来られたなと、自分でも思うけど、今回の UMFでは、より冷静に、そして激しく、今まで信じて来た音、そしてヨーロッパで体感し、新たに産まれ変わった自分を表現する事が最大のテーマで、その為に考えられる演出の為に最強の布陣でステージに挑んだ。

まずは、長年の相棒である YUUKi MC。彼は現在ノルウェーに移住して1年が立ち、共にステージに立つ事が当然のように困難になって、この1年はYUUKiが居ない状態でステージに立ち続けた結果、彼がフロアーをどれだけコントロールしてくれていたのか、身を持って知って、その存在の大きさに改めて気づいていたけど、今回はこのステージの為にノルウィーから、フェスの当日に帰国してくれた。久しぶりに長年の相棒が一緒にステージに立ってくれるその安心感は精神安定剤のようなもので、いつもの自分を保てる大きな助け舟になってくれた。そして、チェコにも同行してくれた VJのYAKO君。彼は長年自分のレジデントパーティーである 06Sに、15年以上通ってくれて、どんな映像演出が DJ AKi及びドラムンベースにとって大事で必要か知り尽くす VJで、今では 06Sでバイマンスリーで VJをしてくれて居て、この日の映像演出の為に新たな映像を製作してくれた。そして、日本を代表するライティングマスターの AIBAさん。もう説明無用なプロ中のプロである彼は、17年近く照明をコントロールしてくれる心から信頼出来る人で、隣のエリアだったレジスタンスの照明演出担当だったにも関わらず、DJ AKiの時間帯にライブステージに乗り込んでくれた。また、今回はいつもの 06Sの最強メンバーに加え、シークレットゲストとして新たに UMFのステージに参戦してくれたのが、只今、フリースタイルダンジョンで2代目モンスターとして熱い注目を集める MCの ACE君。実は彼とは2回 Tokyo Street Collectionというイベントで、WombとageHaで共演し、その鉄の心臓から繰り出すマイクパフォーマンスでコントロールするフロアーの掌握力、Hip Hopの MCでありながら、ドラムンベース MCとしても、面白い化学反応を起こすスキルと、ステージの立ち姿の貫禄を強く DJブースから感じていて、また共演してみたいと思っていたアーティストだった。今回はライブステージに出演だったのもあって、長年の相棒の YUUKiに加え、ACE君がステージに立ってくれたら、更にライブ感が増して新しい結果が産まれるとイメージして、自分から直接彼にオファーをすると、出演の承諾をしてくれた。

そして、ACE君が登場の際にプレイしたオリジナル楽曲を長期間に渡って製作してくれた GAKちゃん。チェコにも同行してくれてドラムンベースの真髄を体感した彼との音源を、より本物の UKサウンドに仕上げてくれた、レジェンドと呼ぶに相応しいプロデューサー SHIMON。これだけ役者が揃えば、後は自分の仕事をするだけ。45分間の短い出演時間だったけど、より濃縮されたバイブとフローを生み出すであろう、フェスでの DJはこうあるべきだ!と思うセットを何日もかけて塾考した。

DJ AKiは毎月23時から朝の5時まで6時間セットを Fai青山で開催しているパーティー”Jupiter”で、UMF2日前に、その考え抜いたセットをぶちかまして、強い手応えを感じ取った上で、更にセットを微調整してステージに挑んだ。正直、今回のライブステージは、バンドがメインだったから各出演者の転換時間が30分ほどあって、音が止まる状況からスタートする状況で、そこに関してはどうなるのか?当日を迎えるまで全く想像ができなかったし、UMFというフェスに初めて設置されたライブステージで、今の自分がどういった形で乗り越えられるか、自分がどれだけの運を持っているかの腕試しで、全く響かない可能性もあったし、最高の結果が生まれるかも知れないし、とにかく半信半疑の玉砕覚悟でステージに立ったのは素直な気持ちだったりもする。しかし、今回の UMFでは媚びる事なく自分が信じる音と共に、最強布陣で挑んだおかげで、いつものように全く緊張や気負いすることなく、DJを開始した。

スタート前は、ほとんどフロアーに人が居なかった開始直後から、時間が経過すると続々と人が集まって来て、ブースからは誰か分からない程遠くで、激しく踊る人たちが数え切れないほど居て、音と映像、照明、MCが三位一体になって、爆発力が産まれた。フロアーから跳ね返ってくるバイブを、ガッチリと掴んで、冷静にコントロール出来た事は、チェコでの時間を経験したのが大きく、今までの自分とは違うサイズ感や心境によって乗り越えられたのが、何よりも大きな収穫だった。そして、一切リハーサル無しでのぶっつけ本番だったにも関わらず、長年に渡って多くの時間を共に過ごしたチームの阿吽の呼吸は、DJ AKiの意図を言葉なくして感じ取ってくれるプロフェッショナルなメンバー達のおかげで、台本が無い大舞台で逆に緊張感が産まれて、よりライブ感が高まったのは間違いない。DJという職業は、フェスのような屋外の大きな場所で1人で出来る表現に限界があって、周りでサポートしてくれる人々がいてくれるからこそ、DJのみで出来ることの表現力との大きな違いが発生して、彼らが居てくれたからこそ今回のステージが完成した。自分は本当に優秀な人々に囲まれて、恵まれていると改めて心に沁みる時間になった。

もちろん、この日を目指して UMFに足を運んでくれた人々のサポート、 今回の出演機会や手厚いホスピタリティーを与えてくれた、AVEX及び、UMF関係者には多大な感謝と共に、この経験を糧に更に飛躍したいと考えている。長いようであっと言う間だった20年のDJキャリア。今はまだ夢の途中。今回の UMFを新たなスタート地点と捉え、DJ AKiはネクストレベルへ踏み出すので、これからもよろしくお願いします!! 

Massive Shout to : Fukagawa (Avex), Takeo,Itti (High Concept), Sabi,K2hg(9B), Momoi,Keisuke,Kana(Womb), Fai Aoyama , Seigo Kamiyama(3 faiths DJ School)


2015-09-22

UMF JAPAN 2015 DJAKi Track List

UMF JAPAN 2015 DJAKi のトラックリストを公開。新旧織り交ぜ拘りを持って選び抜いた、DJ AKi好みのハイクオリティーな楽曲揃い。90分間全51曲。

The Nemes _ Ed Rush & Optical
Once Again _ Loadstar
Anonymous _ Dirtyphonics
Lrad _ The Prototypes Rmx _ Knife Party
>> Deadline bootleg _ Dub Phizix
Where We Go Feat. Doctor _ Calyx & TeeBee
Robots & Romans _ June Miller
Snares _ Joe Ford
Zodiac _ Mob Tactics
Foodchain _ Audio
Freak ft. Josh Barry (VIP) _ Friction
Impulse _ Mind_Vortex
Spider (Optiv & BTK Remix) _ BC
In Your Eyes _ Callide & Intraspekt
The Pulse (The Prototype Remix) _ BC
City Of Gold (Extended Mix) _ The Prototypes
Shaman VIP _ DC Breaks
Some Chords (Cyantific Remix) _ Deadmau5
Abyss 2015 _ The Prototypes
Ghost _ Delta Heavy
Himsa _ June Miller
I Need You Here _ Tantrum Desire & Drumsound & Bassline Smith
Show Tell _ The Voss NC-17
>> Timewarp VIP _ Sub Focus
Heartbeat Loud (ANDY C VIP) _ Andy C ft Fiora
Borg _ Original Sin
Experts - The Prototypes Remix (Explicit Mix) _ Skisim
Phantasm _ Drumsound & Bassline Smith
Last Night On Earth _ June Miller
Kill The Silence (feat. Ayah Marar) _ The Prototypes
The Black Hole _ Smooth
Nitrous (Audio Remix) _ BC
Dune _ Loadstar
Way Of The Warrior _ James Marvel ft. MC Mota
Raptor _ Frankee
Force Majeure _ The Voss NC-17
Shatterdome _ Audio
Angry Bird _ Ed Rush & Optical
Perforation (Original) _ Wilkinson
Slaughter House _ Slang Banger
Take me Away (ANDY C rmx) _ Dj SKT
Half-Truth _ Ed Rush & Optical
Don't Look Down Feat. BullySongs _ Rene LaVice
Slow Down _ June Miller
Major Happy (VIP) _ Fred V & Grafix
Liberate (Matrix & Futurebound Remix) _ Eric Prydz
Heaven & Earth _ ASY
Xpander (Futurebound Remix) _ Sasha
Stand High Feat. Daniela _ Mind Vortex
Freefall VIP (feat. Reija Lee) _ Metrik
You Can't Stop (Matrix & Futurebound Remix) _ Afrojack & Shermanology

2015-07-24

グルーブの謎

グルーブとは常に謎だ。そもそもグルーブの由来は諸説あるけど、レコード盤の溝による音の緩急や強弱から産まれ、踊れる音楽の雰囲気や空気感をグルーブと呼んだらしい。もう20年もこのシンプルかつ、奥深い世界に足を突っ込んで時間が経つけど、このグルーブという存在が、ダンスミュージックには不可欠で、人に高揚感を与え、心地良く音楽にはまって踊る為には、絶対的にグルーブが無くてはならない。そして、時にその表現方法の難しさは厄介でもあり、とてつも無い謎に満ちている。自分の過去の経験上考えられるのは、グルーブとは自分の肉体や精神の奥底から沸々と湧き出てくるようなものであって、音楽でありながら音楽を奏でる訳でも無く、作曲をするでも無く、既に存在する音楽2曲を混ぜ合わせMIXする結果、そこに生まれる音楽のうねりや融合感を表現する為にグルーブは存在する、口では説明しずらい感覚的な物だ。それはコンピューターがどれだけ進化して、正確なタイミングで2曲を混ぜ合わせたとしても、逆に非人間的なグルーブになってしまって、人間が醸し出すグルーブは、人間にしか表現出来無いし、より良いグルーブを表現するには、その日のコンディションが重要で、食べたものとか、精神状況に激しく左右される。

DJ AKiのDJ論として、再生している曲に、次の曲を混ぜるのでは無くて、自分のグルーブに再生されている2曲を合わせるべきと考える。そうする事によって、所謂それぞれのDJ達のグルーブが産まれると、キャリアが10年過ぎた頃に気づいたタイミングがあった。DJを始めたばかりの頃は、2曲のbpmを合わせる事しか考えられ無いけど、お前らに合わせるんじゃ無い!俺に合わせる!と、長い事DJをしているとそんな悟りが開いたりする。(この考えは俺だけかも知れない?)そんな自分のグルーブをしっかり形作る事が出来る程、個人的には好きなDJの大きな評価基準になっているから、自分としては、今までそのより良いグルーブを産む為に人生の全てを注ぎ込み、挑んできたと思っている。


ビートは基本的にスネア、キック、ハイハット、タム等によって構築されるけど、2曲をMIXする時に、どこを狙って落とし込むか?どのポイントを重ね合わせていくのか?が、もの凄く重要で、全く正確に狂う事なく完璧にビートをシンクロ(同期)させても、踊れなくてつまらないグルーブになりがちで、常日頃からTRAKTARやCDJのシンク機能を使うDJに対して疑問が残るのと同じ。では、どうすれば自分本来のグルーブを表現出来るのか?差し込んでいる曲のビートが既に流れている音楽よりも突っ込ませるのか、それともビートの裏気味に乗せていくのか?で全く違うグルーブを産む。個人的な見解だけど、前者は白人、後者は黒人がそれぞれの人種が持つグルーブの特性表現を持っていると思う。じゃあ自分はどうなのかと言うと、意識的に常日頃から2曲目を前のめりに突っ込ませるグルーブ感を強調させていて、それがみんながいつも感じてくれているDJ AKiのグルーブ感だったりする。案外繊細な話でDJでは無い人に文章で説明するのは難しんだけど、伝わってるかな? もっとちゃんと知りたい人は直接話してあげる!(笑)

そんなグルーブだけど、先日のJupiter 6時間セットはいつもの自分とは違って、前のめりでは無くて、何故か心身共に裏に入りたがっている自分が居て、裏気味に入りながら、より楽曲を引っ張っていくようなMIX感が6時間終始継続的に強調され反復していたと思う。冒頭に書いたように、自分でも何でなのかが分から無いんだけど、それがグルーブの謎。最近はアワビとかウナギを食べてからDJをする機会が多いけど、この日は厚切りのステーキを食べたからかな?とか、好きな夏になって暑くなって日焼けしまくってるからかな?とか、最近割と毎日楽しく過ごせてるからかな?とか、色々と思い当たる節はあるけど、意識的では無い部分で、自分のグルーブに違いが産まれるのは間違いない。そんな感覚を感じ取ってか、今日のAKiさんはいつもよりもよりハードでしたねと、結構色んな人に言われたんだけど、発信側と受け取り側のグルーブの感じ方も随分と違う物だなと思った。でも、普段の自分から湧き出てくるグルーブと違う良いグルーブ感があったのは事実で、物凄く6時間が楽しかったよ。どちらにしろJupiterは本当に濃厚なドラムンベース好きが早い時間から遊びに来てくれて、DJブースとフロアーが凄く近くて、波動のキャッチボールがし易く、アットホームな雰囲気が最高に好きだ。次回のJupiter @fai青山は9月12日で、しかも8月21日は初めての大阪CIRCUSでの開催になる。06Sとまた違ったライフワークになりつつあるJupiterは、刺激的で毎回沢山の大事な要素を学ばせてもらえる。朝まで1晩中DJをやらせてもらえるなんて、こんなに贅沢でDJ冥利につきるパーティーは無いし、混じりっけ無しで100%ピュアなDJ AKiのグルーブをお腹いっぱいに満喫出来るJupiterをみんなで育ててやって下さいな。そして、今後もDJ AKiのグルーブ感の探求の旅は続いて行くのであります。


2015-06-10

BPM1の攻防

 BPMとは、Beats Per Minute(ビーツ・パー・ミニッツ)の略称で、音楽や演奏のテンポを示す単位。DJにとってどのBPMを推移して、フロアーに音楽を継続的に落とし込むか? 簡単に言うと音楽やリズムのスピード感をどのスピードで流すか?まず基本的にDJが考えるべき大切で重要な要素だ。同じ曲でもBPMが10違えば全然違う曲に聞こえるし、音楽の速度によって音のキーも、もちろん変わる。最近のドラムンベースは、174BPMでリリースされるケースが一般的で、ある意味世界基準のBPM数値。DUB STEPなら140、EDMなら128等、ジャンルによってBPMは異なる。実際最近のDJ AKiのプレイ中のBPM はめっきり落ちて来て、06S開始当初は180を超えていた時もあったけど、現在は主に175が、素材を損なわず自分のグルーブにフィットしていて、感覚的にしっくり来る。

15周年へ向けた第1歩を踏み出した06S。06月06日(ゼロロクゼロロク)と、今迄年に1度しか来ない6月で6日だった日が過去14年間にあった記憶がないけど、とにかく06Sにとって縁起が良い日。ゲストDJにイギリスブライトンを拠点に活動する、SHOGUN AUDIO主宰、DJ FRICTIONが1年ぶりに再来日してくれた。説明不要のDJスキルは正に世界トップクラスで、昨年からpioneerのオフィシャルパフォーマーに就任しただけあって、4台のCDJを駆使して繰り広げるMIXは職人技。プレイの安定感が抜群で、CUEの設定を細かく切りまくって、狙い澄ましてハメ殺すダブルドロップの洪水は、彼独特な疾走感や音圧、躍動感を産む。計算され尽くした 90分の流れやフロー作りは流石の一言に尽きる。この日がオーストラリア・ツアーを終えて立ち寄った日本だけに10連投目。10日連続、移動しながらDJをするのは、かなり体力的にハードで簡単にはやりきれないけど、プロのDJにとって、それが仕事であり、好きで無いと到底乗り切れる物ではない。FRICTIONは普段から接していると、この人本当にDJするのが好きなんだなぁって思わされる生粋のドラムンベースDJだ。

 ゲストアーティストを毎月招聘する理由の1つとして、もちろんそのDJをシンプルに見たいのが大きな理由だけど、もう1つ個人的にある目的は、世界のトップDJやプロデューサーを招聘して、自分が1番慣れ親しんだホームであるWOMBのDJブースで、彼等がどんなプレイやパフォーマンスをするのか未だに凄く興味がある。全く同じ環境に本物のアーティストが身を置いた時に産まれる自分との違いを間近で感じる事で、自分に足りないところや、改善すべきところ、また自分のチャームポイントをしっかり比較出来る。実際DJを始めた時からこの20年間ドラムンベースのみならず、色んなジャンルのDJを間近で見て来た。ブースにかじり付いて、1つ1つの動きを把握して、技を学び、それを糧に成長してきた。DJは音楽であるけれど、目から入ってくる情報も実は沢山あって、目で学ぶ事も凄く大切だ。簡単に言うと同じ土俵でどんな相撲を取ってくれるのかがワクワクするんだよ。DJは格闘技じゃないから個人個人でDJに対する評価は千差万別だし、勝負事のように明確な結果がある訳では無いけど、自分としては毎回来日してくれるアーティストに負けない気持ちでブースに立ってる。

そんな世界の3本指に入ると思う、FRICTIONとの対戦。彼は1流中の1流ですからね、簡単には隙を見つけられないけど、勝てない相手では無い。彼のプレイで今回気になったのは、BPMが177前後で推移していた事と、所謂王道系の楽曲でまとめていたのがポイント。いつもよりも少し早い気がしたし、最近の自分ではかなり早く感じるBPM。でも、フロアーのテンションは最大迄膨れ上がっていた。いつもゲストとDJを交代する時に考えるのが、自分はどのBPM数値から始めるか?で、前のDJが180近かったりすると、176で開始するとグルーブが落ちたように感じるのは当然。でも、だからと言って同じBPMで始める事も出来ないし悩みどころだけど、今回はFRICTIONから1つ落として開始。この1つの差がフロアーに大きな違いを産む。実際は1つ落としていても曲のテンションによって、スピード感が違って聞こえるのも不思議なグルーブのマジックで、1つ落としているにも関わらず、FRICTIONよりも自分のグルーブが突っ込んでいる印象を開始数曲で感じて、そこから徐々に175まで落とし込んだ。いつもの自分の時間帯は3:30から最後迄と遅くて、ゲストDJが上げ倒してくれると、フロアーの人々のエネルギー残量が落ちるのも当然で、ピークタイムから同じBPMをひっぱっても、うまく行かない事が多い。結局フロアーを見て感じ取ってその場の雰囲気や時間の流れに合った音楽やBPMをコントロールしないといけない。FRICTIONから引き継いだBPMを最終的に2つ落としてパーティーが終わったけど、今回はその微妙な差が1晩の流れを奇麗に作ったと、やけに感じた06Sだった。そして、何と言っても RamからリリースされたJUNE MILLERと、Hospitalからの LYNXのアルバム!! この2つのアルバムから選曲した楽曲達のMIX映えが素晴らしいと思った。彼等は正に新世代のプロデューサーで、変則的で期待を裏切るような構成力がたまらないし、2015年を象徴する旬の音で、自分のDJセット内のエッセンスとして効果的に役割を果たしてくれた。アルバム通して楽しめる作品だからチェック! DJ的には最近はまってるループ機能もいつも以上に多用してライブ感が強めに表現出来たし、え!?もう4:45??って思う程一瞬で自分のセットが終わってしまった感覚だったけど、Frictionとの対戦で、今迄気づかないような新しい世界観を垣間みれて、これから更に進化するドラムンベースに早く出会いたいと強く思った。そして、みんなのおかげで15周年の第1歩を無事に踏み出せて最高の夜だった。

2015-06-01

静岡36時間の旅

初めての街に訪れDJをするのは、この上ない喜びであり、とても幸せを感じる大事な時間と経験。それと同時にいつも以上によりインパクトが強いパフォーマンスをするのも重要で、DJを始めた時から全くブレていない、ドラムンベースの魅力を伝え、少しでも日本のシーンが拡大して欲しい想いを昇華させ為の大切な機会だ。先週末は、そんな想いと共に初めて静岡県浜松市のBASS MUSICパーティー"EFEKT"に招待してもらった。長い間 DJをしていると、仕事の依頼メールの文面を見れば、どれくらい真剣な想いでパーティー開催に努めているか推測が出来る。EFEKTクルーの代表でオーガナイザー兼DJの加藤君は、某自動車メーカーの車のデザイナーで、メールの詳細や文面がとても律儀で仕事が出来る人だな、と印象が強かった。先日の大阪での舞音楽祭にも顔を出してくれたし、しっかりと挨拶もしてくれて、今回訪れる前から浜松でのDJは楽しい事になりそうだと感じていた。

会場のPlanet Cafeは、20年間浜松の音箱として存在し、浜松のダンスミュージック好きに支持されてきたクラブで、箱の規模は大きくは無いけれど、しっかりと音が鳴っていて、十二分に音楽が楽しめるサウンドシステムが装備されている。20年継続出来ているクラブは、もしかしたら日本最古かも知れない。長い歴史に裏付けられている通り、スタッフの皆さんの仕事振りも対応もとても心地良かったし、お酒も美味しかった。もちろんそんな素晴らしいクラブのスタッフとパーティーを形作っているEFEKTクルーも、みんな真面目で音楽が純粋に好きな人達やDJの集まりだった。

DJをした感想だけど、浜松に訪れる前日に、既存のDJセットに新曲をまんべんなく散りばめて、上げ進行でありながら、ドラムンベース及び、BASS MUSICの魅力を余す事なく伝えるイメージをしていたんだけど、そのイメージが思いの外奇麗にはまって、フロアーの爆発力は、小さな地方都市とは思えないテンションで、東京や関西からの遠征組も含め、お客さんのノリが素晴らしく、スタッフのみんなも終止笑顔が溢れ、とても良いパーティーバイブだった。どんな場所でDJをする時でも、場所に合ったイメージに沿って、フロアーの反応を見つつ、DJ中に軌道修正するケースが多々あるけど、浜松の人々は、想像以上にドラムンベースの理解度が高く、常日頃から地元のDJ達が、自分たちのシーンに正しい音を伝えていると実感出来た。いつも思うけど、街の規模やパーティーの大きさに関わらず、最終的にはどんな人がどんな目的を持って、パーティーを開催しているかがとても大事で、色んな街でDJをして来た自分としては、浜松はかなり有り!! なパーティーだった。先日の名古屋も良かったし、東海地方は東京や関西とまた違った人と雰囲気、面白さがあると思う。そして、浜松名物と言えば、ウナギ!ウナギ大好物なんだけど、パーティー当日に連れて行ってもらったのが、浜松駅前の八百徳本店。うな重と迷いつつも食べた櫃うな茶漬けは、刻みネギとワサビをたっぷりと乗せて出汁を注ぐスタイルで、名古屋の櫃まぶしの印象とは違って、若干味が薄味で食べやすく、代々引き継がれている秘伝のタレと、厳選された活きの良いウナギの旨味が十二分に堪能出来る納得の老舗の味だった。肝焼きも美味しかったし、ウナギのグルーブも相まって納得のDJが出来た事は間違い無い。そして、今回静岡掛川から参戦したSIMOが泥酔して、パーティー終了後自分のPCや機材が入った鞄を残したまま行方不明になり、クラブ近くのビルとビルの間から発見されたのも、パーティーがいかに素晴らしかったかを象徴している(笑)

パーティー翌日は、レイトチェックアウトから静岡名物さわやかのハンバーグを食べて浜松を発ったんだけど、東名高速道路を走っていると、神奈川県に突入する直前に玉突き事故による渋滞18kmの表示が。。。とにかく渋滞にはまるのが大嫌いで、ひとまず、足柄SAで停車してどうしようか考える事にしたんだけど、以前足柄SAに立ち寄ってfacebookに写真を投稿した際に、常日頃からいつも温かく応援してくれているミカネーサンが、近くに住んでいるから呼んで下さいよってコメントをくれた事を思い出して、twitter越しに近くの良い温泉が 無いか教えて欲しいとメールをすると、即返信が来て迎えに来てくれると。それは悪いから温泉の情報をカーナビに入れれば自分で行けるから大丈夫だよと言っても、地元民が行き来出来る場所があるからと。言われるがままに車をサービスエリアに停めて待っていると、10分もしないうちに迎えに来てくれた。足柄SAに、地元民専用の裏口があるなんて知る由も無かった。

温泉は趣味だから日本中の温泉地に訪れたけど、富士山近辺の温泉は、あんまり良い印象が無かったんだけど、連れて行ってくれた、あしがら温泉は、小山町という小さな街合いのおもいっきり田園風景な場所に位置していて、町立な公共温泉で、所謂スーパー温泉的な施設では無く、こじんまりとしつつも地元の人々に愛されている温泉場で、掃除もしっかり行き届いている建物で、柔らかな肌触りのお湯は身体が芯から温まり、浜松での疲れを奇麗さっぱり洗い流してくれた極上の泉質だった。天気が良かったら露天風呂から富士山を目の前に望めるロケーションも最高だし、本当に良い温泉は、豪華絢爛な施設に限らず、今回訪れたような場所にあると改めて実感出来て、忘我な時間を過ごせた。およそ36時間の旅だったけど、ナイスな人々と楽しいパーティーを過ごせて、食事も美味しく、最高の温泉に浸かれた。地元の人達に導かれて贅沢な時間と経験を頂けるから、DJという仕事はやっぱり止められないと思った静岡へのショートトリップ。身も心も満たされた楽しい時間でした。

泉質 : アルカリ性単純温泉(アルカリ性8.8ph、低張性、低温泉) / 効能 : 神経痛、運動麻痺、慢性消化器病、病気回復、健康促進等