2018-12-03

12.08 運命をかけた大勝負!!

理想と現実の狭間で、もがき苦しみながら生きるのが人間の嵯峨で、自分がやりたい希望とやらないといけない強要のギャップに挟み込まれて身動きが取れない人がこの世界のほぼ多数を占めている。でもそのギャップを埋めて自分らしさを取り戻す行為はある種の生きる糧であって、本来人間が持つ本能的な美学なのかも知れ無い。

2000年から日本での DJ活動を開始してから、長い間東京を軸に仕事をしてきた過去もあって、日本のダンスミュージックシーンをジャンルレスに様々な角度から見つめて来た。平成という元号すら来年には変わる変革期を迎えるけど、時が経つにつれて、この世界が持つ価値観や状況、時代は、緩やかなようで急速に変化している。

ダンスミュージックはファッションのようでその時代によって、流行と言われるトレンドがあり、様々な大きな波がのべつもなく押し寄せてくる。しかし、大きな波ほど信じられないくらい一気に引いてしまうもので、真実と呼びに相応しい確かな歴史を体感し冷静に見つめて来た。沢山の人々を飲み込んで持て囃されていたパーティーが数年で終了したり、オーガナイザーや DJを引退した人が山のように存在する。もう2度と会わなくなってしまった人々がほとんどだけど、別のフィールドで活躍し成功している人もいる。結局音楽という不確かな世界で生きていくのは簡単では無くて、結果はそれぞれの意思や行動次第なんだと常日頃から感じるけど、WOMBで毎月開催している、生きる術であり自分自身と言っても過言では無い 06Sという1つのドラムンベースパーティーが18年近く継続しているのは、ある種の奇跡だ。

ご存知の通り自分はドラムンベースという決してメインストリームでは無い、ニッチでマニアックな音楽と22年前に出会ってから、その魅力に取り憑かれ、今でもどっぷりと溺れるように浸かっている。次々と押し寄せてくる大きな波とは全く別の波に乗っている感覚は、きっとどれだけ口で説明しても伝わりにくい、身に染み付いている色で、その色で形成されている自分はみんなが感じてくれているキャラクターであったりする。性分的には愛してしまった以上は中々諦めきれないのがチャームポイントでもあり、人によってはダメだと思われるマイナスポイントなのかも知れ無いけど、信念だけは曲げずブレずに歩んで来たのは確かだ。そんな事を日々考えながら自分を見つめ直す時間と向き合いながら自問自答する機会が多かった2018年だけど、今年最後の 06Sが12月8日土曜日に開催される。

絶対に負けられない戦いがある、とサッカーをTV観戦すると実況が雄叫びを上げるけど、今は正にそんな心境で、久しぶりにブログを書いている。17年半に渡って渋谷のクラブ Wombで開催しているパーティー 06Sは、今まで毎月海外からゲストアーティストを招聘している。きっとそんな豪華な DJを毎月18年近く長い期間に渡って開催しているパーティーは日本では  06Sだけかも知れ無い。自分はとても特異なパーティーのレジデント DJ、オーガナイザーになり、とても恵まれていると実感するけど、今年の下半期半年間は当たり前のように招聘していた海外の DJを呼ばない形で開催して来た。

そこにはいくつか理由があって、国内 DJの活躍の場を広げる目的。特に若手の DJに日本でも指折りの WOMBという唯一無二なクオリテイーを誇る大型のクラブのメインブースに立って経験を積ませて上げたいという想いがある。自分は90年代の7年間をニューヨークで生活して、様々な人とのご縁で26歳というかなり年齢を重ねてから DJになった。勢いだけの駆け出しだった自分に、周りを取り巻く先輩方や師匠と呼ぶべき人、オーガナイザー達には、信じられないほどのチャンスと、本物の DJブースに立つ機会を与えてもらってきた。真面目な話、俺はこのまま DJとして生きていけるんじゃ無いか!?という勘違いが始まってから、22年も DJを続けてしまっている。基本的に DJとして生きていられる事に全く不満は無く幸せだと思うけど、自分を支えてくれる人々の存在が大きかったのは間違いがなくて、今まで歩んできた道のりを振り返ると、自分も次世代の人々にチャンスを与えるのが1つの使命だと信じている。また、この半年間国内 DJのみでどこまでの成果が産まれるのかを知る良い機会でもあった。そんな状況下で試験的に開催してきた 06Sだけど、結果的には素直に最高だったとは言い難く、遊びにきてくれる人達から何で外タレを呼ばないんですか?と聞かれることも多々あったし、変化に対して疑問を問いかけられたのは否めないけど、試してみたことで理解出来た結果は、とても大事で素直に受け止めつつ、2019年の方向性と可能性をより深く明確に考えなければいけないタイミングが来た。

東京のクラブシーンを取り巻く状況はこの1年で大きく変化した。特にダンスミュージックを窮屈に締め上げていた日本の悪しき風営法が改定され、グレーだった部分が解消された結果、堂々とビジネスとしてクラブ経営が可能になり、既存の遊び場以外の新規の遊び場が急激に増加した。もちろん新店舗のクラブもそうだし、実際自分もホテル、ルーフトップ、島、プールと、クラブ以外や朝までが当たり前だった時間帯以外で DJをする機会がとても増えた1年だった。自分にとってこの状況は新しくワクワクする反面、今まで長年に渡って守り続けて来たパーティーに少なからず影響を与えていて、クラブで遊ぶ30代、40代が卒業し、これからの未来を担う若い世代の絶対数が減少する状況で、新しい遊び場が増えれば芳しく無い結果が産まれるのは当然の事実。この現実は覆せないけど往年のファン達が戻って来てくれるきっかけ、また若い世代に対して、元々 06Sが貫いて来た理念や理想を再び高く掲げ直して、結果を見る大事な機会を今回 WOMBが与えてくれた。

開始当初 06Sは海外で育ち海外の現実を熟知する帰国子女を中心にパーティーが構築された。そこにはグローバリズムという大きな根幹である考え方やコンセプトが存在しながら、ただ外タレを招聘するだけでなく、インターナショナルな第一線のフィールドで活躍する海外のアーティスト達を日本で紹介する教育的な側面がある。本物を知り学ぶという行為は音楽に限らず全てにおいて重要なファクターであり、シーン拡大の為には大切な要素で、長年その使命は遂行出来たと思う。また、06Sといえば毎回旬で豪華なアーティストを招聘し、そのゲスト DJとブースで繰り広げて来た一騎打ちは本当に人間的にも成長させてもらったし、200回を超える開催数を誇る 06Sが本拠地だったおかげで、自分はここまで DJキャリアを伸ばせた。海外からのアーティスト達との共演によって生まれた友情から、本当に様々な国や地域に飛び立つ機会をもらえたのも 06Sがあったからだ。そして、そんな経験と共に長年に渡って何よりも大事だと改めて思うのは 06Sに関わってくれたお客さん達で、老若男女問わず自分にとっての全てだと強く考えている。パーティーや音楽が持つ魅力が枯れて、誰も遊びに来なくなったら当然このパーティーは終了する。パーティーというものは本当に水物で一寸先は闇だ。でも、想像を超える人達が集ってくれたら来年は以前のような 06Sと近い形にだってなれる。要するに今の自分の答えは明確で、結果が求められている。12月8日は来年の方向性が決まる大きな意味を持つ大勝負。3年振りに降臨するトップDJ Frictionは、アルバム”Connections”のワールドツアーの一環として 06Sに登場してくれる。現在の世界のドラムンベースシーンにおいて最高のパフォーマンスを見せるアーティストの1人で、CDJ4台を駆使して繰り広げる怒涛の MIXテクニックは絶対的に格別なアクトを披露してくれると信じて疑わない。ドラムンベースが好きで、06S をまだまだサポートしてくれる想いがある人が1人でも多く遊びに来てくれて、一緒にパーティーを盛り上げ、みんなと共に来年の 06Sのあるべき姿を作り上げたいと切に願っている。12月8日に会う人達の顔を一生忘れないので、是非WOMBで会いましょう!! 

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