2015-05-12

6度目の6時間DJセットを終えて

6時間という長丁場のロングセットをこなせるDJは、音楽に対する溢れんばかりの愛情と、数々の修羅場を通った経験、長年音楽を聴き続けた時間によって蓄えられた知識、途切れない集中力、そして、もちろん最後迄踊り続けながら楽しくDJが出来る体力が無いと絶対的に成し得ない。そんなロングジャーニー(長旅)は、ゴールした時に今迄体感した事が無い充実感と達成感を味わえるけど、緻密な計算による組み立てが必要で、時間の経過と共に自分が知りうる音楽の魅力を十二分にフロアーに伝え、聞き手側に飽きさせる事無く、波のように快感や歓喜を6時間に渡って与え続けないといけない。

今回 6 回目を迎えた、Jupiter 6 Hour Journey だけど、約1年に渡って過去5回体感して得た経験をじっくりと振り返って、何が正しくて間違っていたか?、自分に問いかけて今回のJupiterに向けてたっぷりと時間をかけて6時間を構成し選曲する事を試みた。音楽的な話だけど、ドラムンベースは昨今本当に多種多様に細分化が始まって、一口でドラムンベースと呼んで良いのか?と思う程様々なプロデューサーやレーベルが存在する。大きく分けて dBridgeの”Exit Records”が創り上げた、ドラムとベース、ほんの少しの上物のみで構成されるようなミニマルでディープなカテゴリー。あのRoni Sizeの才能を世に送り出した、歌ものやオーガニックな音源で構成される楽曲が主軸のBryan Gの老舗レーベル “V Recordings”に代表される、リキッドと言われるカテゴリー。DJ Hype が主宰する”True Playaz”が前身のレーベル”Playaz Recordings”が長年打ち出しているジャンプアップスタイル。リバプールに拠点を置き、この10年で最も飛躍したサイバーハード系スタイルレーベルで、Futureboundが主宰する”Viper Recordings”。優秀なメロディーメーカーを多数抱える”Hospital Records”。ドラムンベース界のキングと呼ぶに相応しいAndy Cと、彼の片腕で父親をフリーメーソンに持ち、シーンのトップを走り続ける由縁となっている、才覚溢れるやり手レーベルオーナーRed Oneが運営するNo.1レーベル”Ram records”。このレーベルは近年サブレーベル ”Program”も立ち上げて新種の音を産み出す若手プロデューサーによる音にも着目し、本体のRam自体もカテゴリーすら不可能な程、幅広いスタイルの楽曲を常にリリースし続けている。もちろん我が愛する天才STYが書き下ろしたASYのアルバム#Zero _ ASY からの楽曲も!ここに書いたレーベル以外にも本当に沢山のアーティストや音楽が存在していて、1つのジャンルでこれだけの幅がある音楽性は他に無いと言っても過言では無いし、どんどん進化していくドラムンベースの虜になって20年近く経つ自分としては、この音楽に関わってしまった時間を運命としか思えないし、近年のこの進化は、目覚ましい勢いだ。そして、Good Musicであればカテゴリー問わず何でもプレイしたい性分で、1晩の責任をDJとして自分1人で背負う行動は、1人っ子の自分に凄く適していて、積み上げて来たキャリアにより大きな影響と経験を与えてくれる。

閑話休題。今回の6時間セットは出来るだけハードな時間帯を少なめにしようと思案した。普段の DJAKiのイメージはハードでブチ上げ系で攻めのスタイルだと通常認識されている。06Sが14年にも渡って打ち出している音楽は、サイバーで無茶苦茶に踊り倒せる、大箱に映える音源を主体にパーティースタイルを築いて来たけど、それ以外にもドラムンベースには、素晴らしいエモーショナルな音楽が沢山あるから、折角6時間も持ち時間があって、自分1人で1晩に渡って表現出来る贅沢で大切な機会を、06Sとは違った形でより探求したかった。そして、大箱では出来ない Faiの特性を生かした音楽を次々に紡いでいく事によって産まれる雰囲気やフローを1番に考えた。Faiのサウンドシステムは小箱でありながらフロアーの音の鳴りが良くて、東京のクラブの中でもベースサウンドを感じるには最適なクラブと言える。ベースあってのドラムンベースだから、あれだけベースが鳴っていると音楽の理解度がぐっと上げって、よりその魅力を気付けると思う。そして、この数年で自分好みの音を紡ぐべく、自分のいくつかのハードディスクの中に保存されている無数の曲の中から可能な限り掘り出してみた。通常6時間だと1時間平均30曲と考えてもおよそ180曲分が必要だけど、現場の雰囲気に応じて予定のDJセットから曲を抜き差しつつMIX出来るように、新旧織り交ぜて200曲用意し、特に今回は浮気する事無く、100%ピュアにドラムンベースをプレイすると決めていた。

初めて6時間セットに挑んだ時は、終了してみると、かなりヘタレてしまって、自分の体力の無さと、全然時間をコントロール仕切れ無い感覚があったけど、6回目ともなると30分単位で経過する時間を大分掌握出来るようになったし、6週間で10kg近く体重を絞った分だけ身体が軽くて、グルーブも軽快だったと思う。各時間帯のフロアーに居るみんなの様子も手に取るように感じられたし、約180回のMIXは基本的にイメージ通り組み上げる事が出来て、100%完璧では無いけれど、かなり100%に近い形になって、新境地を垣間見れた6時間になった。

Jupiterに遊びに来てくれる人達は、心底ドラムンベースとDJ AKiが好きで、フロアーから跳ね返ってくるエネルギーの純度が非常に高い。好きな曲に涙している人、黙々と音楽にはまって踊り倒している人、椅子に座って音楽に聞き入る人、仲間と楽しく会話してパーティーの雰囲気を楽しんでいる人、泥酔して立ってるのも危ういのに踊り続ける人、その泥酔者を手厚く面倒看てる人、Mixを繰り広げるたびに絶叫する人、ニナクラよりもDJ AKiを選んでくれた人、女装してる人、たまたまFaiに来て踊らされちゃった人、06SでドラムンベースにはまってJupiterにも来てくれた人、始めてクラブに来た人、赤塚不二夫の漫画に出て来そうな顔でもRam RecordsのT-shirtsを着てる人、ヘドバンシスターズにセクハラする人(SIMO)等、本当に多種多様。フロアーからブースが近い分、それぞれの人の動きや様子がはっきり分かってるんだよ!(笑)クラブと言えば、ナンパとか、欲望が渦巻く場所だとイメージを抱いてる人が多いかも知れないけど、少なからずJupiterには、そんな事は全く無くて、純粋に音楽を楽しむみんなの笑顔が溢れ弾けている印象が強くダイレクトに感じられる。まだ100人規模のパーティーで、決して大きくは無いけど、継続する事で、2倍、5倍、10倍のサイズになるように、より濃密で愛が溢れるJupiterになるようにイメージして、これからも6時間を楽しんで行こうと思う。だってDJ AKiは、Jupiterに関わってくれる人や、遊びに来てくれる人達を愛さずに居られない訳ないからさ♡

Photo by Igarina. Big Thanx to Fai Aoyama , K2hg(9B) , Yuuki MC , Future Forces Crew and all lovely people who came down to Jupiter DJAKi 6 hour Journey☆

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