2015-07-10

グアムレポート

梅雨が憂鬱な日本から3日程脱出して、初めてのグアム島に訪れた。グアムは太平洋にあるマリアナ諸島南東の島で、成田から飛行機で3時間と利便性が高く、手軽な海外旅行先で、家族連れや初めての海外旅行者に向いていて、日本でも一般的な観光地。今回の旅の目的は今年で開催3回目の5,000人規模の音楽フェスティバル”Electric Island Festival”と、WOMBのコラボレーションがあって、WOMBのステージも設けられる初の試みだった。基本的にEDMが軸のフェスだから、ドラムンベースの入り込む隙間が無く、自分はフェス前日のプールパーティーでのDJオファーだった。正直過去にグアムに訪れた人達の感想を聞いても良かった試しが無いから、過度の期待をしないで、ひとまず近いし南の島にでも行くかと、軽い気持ちで旅立った。でも、実際訪れてみるとそこは海外。海外に行くと背中から羽が生えたように解放されて活き活きとしちゃう性分だから、ブラジル以来約1年振りの海外で、到着から灼熱の太陽と、むせるような熱気に南国好きな自分としては、心が躍らない訳が無い。


ホテルに到着すると、既にプールパーティーが始まっていて、自分の部屋はプールの1フロアー上で、DJブースの真上。徹夜からのフライトで3時間しか飛ばないと、充分な睡眠が取れないから、え~もう着いちゃうの?って思いながら、眠い目をこすりながらホテルに到着して、夜のDJの為に一眠りしようと思ってもそこは爆音鳴り響く部屋で当然無理。ひとまずDJまでパーティーで遊ぶ事にして、程なく自分の出番になったけど、プールパーティー最後のDJで元々関係者のみのパーティーだったから、正直そこまで人が居なくて、ここはまずグアムの関係者にちゃんと音楽を伝えようとDJを開始すると、1曲目でいきなりDJ機材全ての電源が落ちた。。。特設のDJブースで屋外だと起こらない事故ではないから、復旧を待っていると、ホテル自体のブレーカーが飛んでしまって、回復不可能と判断。グアム迄来て1曲もかけれないのかぁと困惑していると、クルーの連中が今夜ホテルから歩いて5分のところにあるクラブでパーティーをやるから、このままこの機材を持って行くし、ここよりも人が居るし、何時に来てくれても構わないから、DJをやりに来てくれないか?と。これは予想に反したオファーで、お願いされれば何処にでもDJをしに行く精神の自分としては、1つ返事で承諾して、部屋に戻ると大雨のスコールが降り出した。おかげでユックリと一休み出来たし、これって音が止まってなかったら機材が大変な状況になってたなぁと思うと、グアムに来ても晴れ男伝説。今夜のパーティーでAKiにDJしてもらう為に音が止まる運命だったんだよと、グアムの人々は明るくナイスで前向きだ。
クラブに向かってホテルから歩いていくと、もう既にダンスミュージックが300m先から聞こえてくる。小さなクラブの入り口にはスピーカーが設置されていて、外に向かってガンガン音を鳴らしている。こんな風に爆音を外で鳴らしたら、日本だったら騒音苦情で直に警察が来ちゃうけど、そこはグアム。むしろ音に誘われて人が集まって来る。お店の作りは凄くシンプルなバーが1つあるラウンジ形式の内装で、客層はほとんどが現地のアメリカ人。人種も様々で、黒人、白人、アジア人、現地人? 等、多種多様。どうやらグアムで唯一の音箱らしく、久しぶりの海外でアウェーな環境。きっとドラムンベースを全く知らないであろう人々をどうやって踊らすか腕が鳴った。実際にプレイしてみると、まずは黒人達がDJ AKiのグルーブ感に引っ張られて、ソファーでまったりしていたのに、突如ガンガン踊りだした。音的には歌ものを中心にあまりオーガニック過ぎない選曲で組み立てた。アメリカでDJするのは本当に久しぶりだったけど、もちろん英語圏だから歌詞の並びに拘ったのも功を制したと思う。失恋の歌詞からハッピーな歌だと意味合いがおかしな事になるからね。その辺の意図も通じたのか、その場に居た人達のノリの良い事。終止最後迄大盛り上がりで、改めて音楽に国境は無いなと実感出来たし、音楽知識やボキャブラリーに捕われず、しっかりとしたDJのグルーブと良い音楽さえ鳴っていれば、何処であってもパーティーはきちんと成立するし、伝えるべきグルーブが受け取り側に理解してもらえれば、4つ打ちだろうとドラムンベースだろうと関係無い。


プールパーティーで音が止まった事で、想定してなかったギグが出来て凄く楽しかったから、ご機嫌でその夜を過ごし、空腹で朝早く起きてしまったのもあって、ホテルの朝食バイキングを食べに行ったら食あたりに。。。最近自炊メインで油を抑えた野菜中心のヘルシーな食生活をしてる自分としてはいかにもアメリカな食事と油が全く合わなくて、腹痛に見舞われ起き上がれなくなってしまった。その夜はメインイベントのフェスなのに、でも絶対的に行けないなぁと思っていると、薬を持って迎えが来てくれて、何とか会場に足を運べた。会場に着くと人種のるつぼで、フェスのお客さんは割と年齢層が若め。時空ボケもあって、一瞬自分が何処に居るのか?分からなくなったけど、熱気があって賑わっている。メインステージはEDM。WOMBステージはテクノ。WOMBのステージのサウンドシステムの鳴りと、大型LEDスクリーンの質感がアナログ感満載で、何故か懐かしくも暖かみがある演出。南国の開放的な気候と空気感に遊びに来ている人々は終始楽しそうで、良い雰囲気のフェスだった。

最終日体調も何とか復活して、部屋でゆっくりしていると、今夜のビーチパーティーでもDJをしてくれといきなりオファーが。ドラムンベースがグアムにも思いの外響いたようで、パーティーの閉めをどうか?と。もちろん断る理由は無い。大きなビーチサイドのレストラン脇に特設DJブースが設置されてある。背中にビーチを背負った景色のサンセットはロマンティックに奇麗で、中々のロケーションを見つけたなぁと感心。昨夜のフェスティバル関係者やDJ、もちろんお客さんも沢山集まっていた。ビーチパーティーならではのまったりとした雰囲気で、みんなお酒と食事を楽しんでいたけど、ブースの前にはそれなりのフロアーのサイズもあるし、割と音が鳴っている。まずは、ディープ目でトライバルな音でDJを開始して現地の黒人の人々を取り込んでみた。すると音に引き寄せられられるように人が集まって踊り始めた。彼等は本能的にグルーブ感がイイから、黒人がフロアーで踊ってくれると、フロアーのテンションがグッと上がる。そこからオーガニックな如何にも海にマッチしたポジティブな歌モノを連発して、最高潮なテンションで無事に終了。夜のビーチサイドの雰囲気は本当に心から楽しめた。その場所と雰囲気に合った音楽で響き渡る音楽の力は、海外だとより深くまで心に沁みる。

今回のグアムは予想に反して2回全く想定しなかった場所でDJをしたけど、自分は凄くツイてるし、良い意味で持ってるなと改めて思ったよ。2ギグともグアムでDJするならこの2カ所でしょ!と言っても良い程の最高の環境でDJをやらせてもらえたし、初めて訪れた土地なのに現地のホントに心が優しい沢山の人達とコミュニケーションを取れて仲良くなれた。もちろん日本から来てくれていた人達と海外ならではの時間軸の中で色々と建設的な話がゆっくりと出来たし、WOMBのクルー達とも記憶に残る思い出が出来た。音楽を通じて広がるボーダレスな友達の輪や、まだDJ駆け出しの頃にNYで外国人を相手にDJをしていた頃の懐かしい記憶も蘇えったりで、貴重な経験になった。そして、前日のフェスに出演した同級生だけど大先輩のKEN ISHIサンが、フロアーで踊っていてくれて、AKi君Good Jobだったよ~と言ってもらえたり、卓球さんにもロケーションにはまった良いセットだったよ、しかもISHII君がドラムンベースで踊るのを初めてみたよって笑って話してくれた。大先輩のテクノレジェンド達からの愛のあるメッセージはグアムの大きな記憶の1つになった。


グアムは東京からたった3時間のアジア圏なのに、英語が普通に通じるし、もちろんおもいっきりアメリカで、こんな近くにアメリカがあるんだなと初めて知った。70年前の戦争当時だったら、機関銃で殺し合っていたであろう土地で、楽しく至福感に包まれながらDJが出来て、何て良い時代に生きてるんだろうって痛感したよ。観光で見るべき場所も無いし、3夜連続でパーティーだったから、パーティーとホテルで3日間があっと言う間に過ぎてしまったけど、食事さえ改善されればまた絶対に訪れたい南の島だった。来年もこの企画絶対にやって欲しい!

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