2010-04-27

セルビア共和国 _ ベルグレード

東ヨーロッパのバルカン半島に位置する、セルビア共和国の首都ベルグレードに訪れた。ヨーロッパ大陸は、オランダとベルギー、スイスしか訪れた事がないから、そんなに詳しく知らないし、ましてや東ヨーロッパは初めての上、日本にこの国の情報が少ないから、全然想像もできなくて、出発する前から、どんな国で、どんな事が起こるのか?初めて訪れる未開の地にワクワクしていた。


ベルグレードには、オーストリアのウィーン経由でのフライトだったけど、本来10時間位のフライトが、火山灰と燃料費削減の影響で、11時間半もかかった。ウィーンの経由ターミナルには、喫煙所もあるし、インターネットが無料で使い放題。4時間の経由も比較的時間を潰すのに、事欠かない。






あっと、言う間にベルグレード行きの飛行機に乗り換える時間になったが、何とプロペラ機。。。自分の記憶が定かなら、前にプロペラ機に乗ったのが、'98年に DJで、ニューヨークからノースキャロライナに飛んだとき以来。未だに80年代に作られたようなプロペラ機が、飛んでいる事実に驚きながら、落ちないでくれよ~と祈りつつ搭乗したけど、プロペラの音が機内に鳴り響く飛行機に揺られ、1時間ちょっとでベルグラードに無事着いた。飛行機から降りると荷物を受け取るゲージ周辺には、視線の鋭いミルコクロコップのような強面の警官達が何人も居て、いきなり東ヨーロッパの緊張感。イミグレーションでは、入国カードが存在しなくて、パスポートを見せてスタンプを押してもらうだけ。こんなに入国が楽な国は珍しい。




今回のフェスのオーガナイザーをしている、この旅を一緒に渡航しているYUUKi MC のイギリスの大学時代の後輩が、空港にピックアップしてくれて、車でホテル迄向かった。夜だから街並みをはっきり見る事は出来なかったけど、至る所に共産圏だった名残があって、割と殺風景だけど、人がいきいきしていて、活気はある雰囲気。ホテルに荷物をおいて直ぐに、YUUKi のイギリス時代の大学の先輩だった、セルビア人の "スロボダン"が、夕食に連れて行ってくれるということで、彼の家に訪れ、いきなりベルグレードのローカルな生活に滑り込む。相変わらず YUUKi は世界中に友人が居るなぁと感心した。

ブラジルやイギリスでもそうだけど、地元の人達が歓迎してくれて、迎え入れてくれる事で、その土地で暮らす人達の生活や文化を、到着したその日に垣間みれる。観光では感じる事の出来ない、DJ として旅が出来る喜びを感じる瞬間だ。


先輩は、勇気の大学を主席で卒業した秀才で、英語がとても上手。秀才でありながらベルグレードの TOP HOUSE DJ で、音楽をこよなく愛し、心が温かく、素朴でとても良い人だ。

彼がレストランに連れて行ってくれたが、レストランが禁煙じゃなくて、男も女もみんな、たばこをガンガン吸っている。近年の先進国ではあり得ない光景。お店に入るとお客さん全員から痛い程の視線を感じる。アジア人は見た事はあると思うけど、こんな姿の日本人を見るのは初めてなのか? セルビアのローカル感たっぷりのお店に居る自分たちから、かなり違和感を感じているのか?とにかくみんな一瞬固まってから、凄まじいガン見状態で、圧倒されまくり。。。色んな国を訪れていても、これだけスーパーアウェー感たっぷりな土地は、本当に初めてだ。


セルビアは、長い間トルコに侵略されていた時代があるから、食事はトルコ料理に似ていて、基本お肉のバーベキューが多い。しかも、みんな体格が凄く良くて、背も横幅も軽く日本人の1.5倍はある。あの体格の人達と、サッカーをしても日本代表が勝てるはずないなぁと心底思う。もちろんそんな大柄な国民だから、その分食べる量も多くて、これが前菜ですか!?って思う程の量が、テーブルに並べられた。プラムのサラダ、ポークチョップ、ラムのステーキ、パスタと、ボリュームがあったが、割と美味しかった。

食事も終わり、クラブに連れて行ってもらったが、東京のようなインターナショナルな雰囲気は皆無で、ほとんどセルビア人。ここでも凄まじくみんなからの熱い視線を受けたけど、とにかく人が持つエナジーがとてもポジティブで、エネルギッシュな印象が強い。音楽を純粋に心から楽しんでいて、リスペクトしている。


セルビアは、旧ユーゴスラビア時代に、国の内戦が長い間続いていて、民族間で凄まじく争っていた。もちろんベルグレードの街も爆撃を受けていて、未だ戦争の傷跡が残っている場所もある。実際まだ戦争が終わってから15年しか経っていないから、きっとクラブに居るような若い人達でも、子供の頃は戦争の時代で、自分の未来が見えない不安な世界観の中で、育ってきているはずだし、親達はもちろん実際に戦争をしていたに違いない。そんな暗黒な時代から、戦争も終わり平和が訪れている分、みんな前向きに生きていて、やっと勝ち取った平和を、心から楽しもうとする様子をヒシヒシと強く感じる。そんな状況だからこそ、音楽をストレートに心底楽しもうとする姿勢があるんだろうと納得出来た。戦争から60年以上経って、完全に平和ボケしてしまって、色々と歪みが産まれている日本も、きっと戦後は、国を復旧する為に、みんな必至に前向きになって生きていたんだろうなと、思わずには居られなかったし、平和な社会で何不自由無く生活出来ている日本人は、もっと平和の有り難みを感じなくてはいけないと実感した。新しい土地に訪れると普段感じる事のない、感覚や考えが産まれ、その土地の時代背景迄もが見えてくる。おもいっきりタイムスリップしたような感覚さえも覚えた、東ヨーロッパのベルグレードだった。フェスの模様は次のブログで。

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