今年も既に12月に突入したので、2009年のシーンの印象を書こうと思う。素直な感想として、ドラムンベース・シーンの盛り上がりが、ここ10年で最も目覚ましいと言える。イギリスのダンスミュージック・チャート TOP 40に、ドラムンベースの楽曲が何曲もランクインしている現状は、目を見張る現象で、正直信じられない程の勢いだ。約10年くらい前にドラムンベースがブレイクし、全世界にシーンが拡大した。その後、アンダーグラウンドとオーバーグランドなシーンを行ったり来たりしていて、知る人ぞ知る音楽のような存在だったけど、今年は SUB FOCUS を筆頭に第3世代的な若手プロデューサーの台頭、熟練プロデューサーの復活等、両方の側面から良質な楽曲が次々とリリースされ、様々なタイプのドラムンベースが存在していて広い幅を感じる。そして、メジャー音楽シーンへのアプローチが、とても戦略的に成功したことによって、現在の結果が産まれていると思う。何よりもドラムンベースという音楽を盛り上げようという、アーティスト、レーベル、ドラムンベース関連のWEBSITE、雑誌、広告媒体と、音楽に関わる全ての人の熱い想いが、今のシーンを作り上げている事は間違いない。
そんな中、今までの既存のドラムンベース以外に、最近はミニマムでディープなサウンドのドラムンベースが、EXIT RECORDS を主宰する D-BRIDGE を中心に盛んになって来ていて、DUB STEP とクロスオーバーした独特なイギリスならではのシーンに育って来ている。彼等は自分達のサウンドを "AUTONOMIC" と命名し、ドラムンベースでありながら新たなジャンルを感じさせている。以前ブログで紹介したけど、D-BRIDGE は、今年06S に共に出演した交流の深い INSTRA:MENTALと、AUTONOMIC PODCAST を12シリーズ制作し、彼等の牽引するシーンの音を紹介している。そして、ロンドンの大型クラブ FABRIC がリリースしている、記念すべき50枚目の MIX CD を、2010年2月にリリースする事が決定した。FABRIC はこの10年で時代を象徴するアーティスト達が、MIX CD を手がけているだけに、今回の彼等のリリースが決定したことは、いかにイギリスで彼等の音が支持を受け、今後のシーンに多大な影響を与えるかと証明している。
2010年へと移行する節目であり、新たなジャンルの誕生すら感じさせる時代の流れの中、今年 11月末に、D-BRIDGE 主宰レーベル"EXIT RECORDS"よりリリースされた CONSEQUENCE のアルバム"LIVE FOR NEVER"は、10月頭に LONDON に訪れた際に、D-BRIDGE から手渡されたアルバムだけど、始めて聞いた時の衝撃がとにかく大きかった。オーストラリア出身で、現在はニュージーランドを拠点に活動しているプロデューサーである彼のこのアルバムは、正にミニマムかつディープなサウンドで、オリジナリティーと、サウンドクオリティーが非常に高く、アルバム1枚を通して、統一された彼独自の世界観は本当に真新しく、新鮮なサウンドだ。ドラムンベースはダンスミュージックだし、基本的にハードな音楽だと一般的に認知されているけど、彼のサウンドは、それに逆行するような、じっくり聞き込めるサウンドで、まるで瞑想音楽のような個性と、音楽的センスが際立っている。数々リリースされた今年のアルバムの中で個人的にベストだと思うし、丁度まだリリースされたばかりなので、多くの人の耳にこのアルバムの音が届くと嬉しい。ドラムンベースの進化はまだまだ止まらない。
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